日本商工会議所は1月31日、1月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は1月16~22日。全国407商工会議所が3371企業にヒアリングした。
1月の全産業合計の業況DIは、マイナス16・0と、2018年12月からマイナス0・3㌽でほぼ横ばい。民間工事や設備投資、自動車関連を中心とした生産、インバウンドを含む観光需要は堅調に推移した。他方、根強い消費者の節約志向に加え、暖冬により冬物商材の動きが鈍く、売り上げが伸び悩んでいるとの声も聞かれ、小売業の業況感が悪化した。人手不足の影響拡大や原材料費の高止まりが足かせとなっており、中小企業の景況感は足元でほぼ横ばいの動きとなっている。
ヒアリングした企業からは、「定年退職者数に対して新規採用数が圧倒的に少なく、人手不足が慢性化している」(電気通信工事)、「パートの採用に苦戦しており、人手不足から販売機会を逃すことが増えてきた」(百貨店)など人手不足を訴える声が寄せられた。一方、「ラグビーワールドカップや東京五輪などの国際的イベントを控え、関連商品の商談が増えている」(雑貨製造)、「海外旅行客数が増加し売り上げ改善となったほか、10連休となる今年のゴールデンウイークの予約も好調」といった前向きな声も聞かれた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス17・3(1月比マイナス1・3㌽)と悪化を見込むものの、「好転」から「不変」への変化が主因。個人消費の拡大やインバウンドを含めた観光需要拡大、生産・設備投資の堅調な推移への期待感がうかがえる。他方、人手不足の影響の深刻化や、原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁遅れ、貿易摩擦の激化、世界経済の動向、消費増税の影響など不透明感が増す中、中小企業の業況感は慎重な見方が見られる。
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