「保育園にこそ保健室を!」をモットーに看護師常駐の保育園を設立
株式会社リリフル 代表取締役 金森 律子(かなもり・りつこ)
子育て体験やキャリアを生かして起業を決意
3年前、私は小さな個人病院の看護師としてパートで働いていました。その頃、まさか自分が会社を設立して従業員を雇う身になるとは思ってもみませんでした。
きっかけは、ある経営者の方から「保育園をつくりたいから手伝ってほしい」と誘われたことでした。その時初めて、企業が企業のためにつくる「企業主導型保育園」という制度ができたこと、個人で設立の申請ができることを知り、自分でやってみたいと思い、思い切ってチャレンジしました。
私は一人目の子どもの出産と同時に引っ越し、知らない土地で育児に奮闘していました。いち早くママ友をつくりたくてさまざまな赤ちゃん向け講座を受講。その中の一つが、ベビーマッサージやベビーサイン講座でした。子ども好きな私は講師となるための資格を取得していろんなママや赤ちゃんに出会い、たくさんの学びと仲間を得て、その仲間たちと震災ボランティア活動、子育て中のママたち向けの講座やイベントを開催。次第に、いつか困っている人の役に立ちたい、社会へ貢献したいとの思いが強くなっていました。
保育園設立の申請が採択された際、二つの理由で看護師常駐の保育園をつくることにしました。一つ目は、これまでの自分自身の経験やキャリアが生かせること。二つ目は、小・中学校には保健室があるのに、どうして保育園には保健室がないのだろう……という、素朴な疑問からでした。公立保育園では、看護師常駐のところは少なく保育士のみの職場が多い状況です。ですから、保育園に看護師がいれば預ける側も働くスタッフも安心なはずと確信していました。
看護師常駐による安心感を
開設当時は、園児が全く集まらず初めての経験ばかりで経営に戸惑っていました。しかし、地域の皆さんの応援や一緒に頑張ってくれた仲間のおかげで、今では40社ほどと提携しています。
取り組みの一つとして、求人に悩んでいる企業さまと働きたい女性の懸け橋にと、子育て中のママの社会復帰イベントを開催して大変喜ばれています。また、保育士の労働環境の整備にも力を入れており、業務の軽減化とペーパーレス化としてICTを導入しました。保護者さまからはスマホから簡単に連絡ができると大変好評です。特に、登園後に体調不良になった場合、看護師からコメントが届くのも保護者さまの安心感につながっています。他にも、保育士になりたい女性に受験料の補助をするチャレンジ制度や保育士以外の看護師や支援員も自身の資格や経験が生かせる仕組みをつくりました。こうした自社の取り組みが評価され、昨年、岐阜県のワークライフバランス推進における「エクセレント企業」に認定されました。
昨年の春にはコロナ禍の影響を受け訪問保育の事業も開始しました。生活様式が様変わりしている今だからこそ、今後は、子どもだけでなく、子どもを取り巻く環境から高齢者など地域の問題に向き合い、必要とされる会社へと成長できるよう精進していきたいと思います。
会社データ
社名:株式会社リリフル
所在地:岐阜県大垣市船町5-18 リバーファイブ201
電話:0584-84-2325
創業:2017年
事業概要:企業主導型保育園認定の保育所「TOUCH(タッチ)」の運営
HP:https://touch.lilifull.co.jp/about/
※月刊石垣2021年3月号に掲載された記事です。
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