わが国経済の地位低下になかなか歯止めがかからない。昨年12月、内閣府は、2022年のわが国の一人当たりの名目GDPは経済協力開発機構(OECD)加盟国中第21位と発表した。国際通貨基金(IMF)によると、23年の世界のGDPランキングでわが国は、ドイツに抜かれて第4位に転落したようだ。
今から約30年前、わが国では住専問題など不良債権問題も顕在化した。政府は大手銀行などに公的資金を注入し不良債権処理を進めたものの、その実行は遅れ、後手を踏むことになった。そして、1997年に金融システム不安が発生した。その後はデフレ経済が深刻化し、わが国経済は塗炭の苦しみを味わった。その結果、企業経営者は“羹(あつもの)に懲りてなますを吹く”心理に陥った。過度にリスクテイクを恐れる心理が経済全体で高まった。日本銀行はゼロ金利政策や量的緩和策、13年以降は異次元緩和を強化しデフレ脱却を目指した。今もこの金融政策の運営方針は続いている。
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