株式会社商工組合中央金庫(商工中金)はこのほど、7月に実施した「中小企業設備投資動向調査」の付帯調査である「中小企業のカーボンニュートラルに関する意識調査」の結果を公表した。調査によると、カーボンニュートラルの影響を受けていると実感する企業は75・6%に上ることが分かった。調査は、6月27日~7月25日に、商工中金の取引先中小企業1万842社を対象としてウェブ画面での回答によるアンケートで実施。有効回答数は4139社だった(回答率38・2%)。
調査では、カーボンニュートラルに関する六つの想定事象(「省エネルギー化」「電気自動車の普及」「化石燃料の削減」「環境税導入などエネルギーコスト増加」「消費者の環境負荷への配慮の高まり」「環境に配慮した投資や融資の進展」)を設定し、それぞれについ て影響(好影響、悪影響、影響なし)を三択でヒアリング。一つ以上の事象で影響があると回答した割合は75・6%だった。
カーボンニュートラルの影響への方策の実施・検討状況については、全体では「すでに実施している」「検討している」を合わせると44・1%。製造業・非製造業別で前回調査(2023年7月)と比較すると、製造業では、前進した(50・1%→52・8%)が、非製造業ではやや後退した(41・5%→39・8%)。
実施・検討している具体的な方策については、「自社のCO2排出量の測定」の割合が実施・検討合わせて15・3%で、前回調査と比較して4・8㌽の大幅な増加。最も取り組みの進んでいる項目となった。
実施・検討の動機については、「エネルギーコストの削減」が全体の36・2%で最多。次いで、「企業イメージの向上」(33・0%)、「補助金・税制の優遇」(29・4%)、「規制強化、法制化の動き」(26・0%)の順で多かった。
実施・検討に当たっての課題については、「規制やルールが決まっていない」が36・0%で最も多く、次いで、「対応コストが高い」(32・6%)、「対処方法や他社の取り組み事例などに関する情報が乏しい」(27・5%)の順で多かった。また、過去調査(23年7月、21年7月)と比較すると、「対応コストが高い」「現場の設備では対応が難しい」「社内に対応に必要な人材がいない」といった回答の割合が上昇傾向にあり、課題が浮き彫りとなる結果となった。
このほか、調査では、生物多様性・自然資本保護への取り組み状況についてもヒアリングを実施。その結果、45・1%の企業が何らかの方策を実施・検討していることが分かった。具体的には、「業務プロセスの改善を通じた環境負荷の低減」(18・2%)が最も多く、次いで、「自社の環境に関する実績(水使用量・廃棄物など)の測定」(16・3%)、「環境負荷低減を考慮した原材料などの調達」(15・5%)の順で多かった。
