日本商工会議所はこのほど、知的財産活用事例集「知恵を『稼ぐ力』に~100社の舞台裏~」について、新たに10社の取り組み事例を公表した。
事例集は、中小企業の経営者などが「知財の活用=稼ぐ力」であることを認識し、自らも知財経営を進める契機としてもらうことを目的に作成。「知財経営」を実践する全国の中小企業などの事例を取材し、知的財産権の取得に至ったきっかけや取得までの過程、これから知財活用に取り組む企業に向けたメッセージなどを紹介している。
事例集に掲載されたアルファ工業株式会社(神奈川県横浜市)の大井川幸彦代表取締役は、元々スウェーデンでディーゼルエンジンなどを取り扱う機械商社に務めていたが、米国で基礎コンクリートや機械補修に使われていた「エポキシ樹脂」の可能性に着目。日本での大きな将来性を見込んで一念発起し、独立した。当初は輸入がメインだったが、その後国産での製造も行うようになり、現在は開発から販売・施工まで一貫して対応できる貴重な企業として、幅広い業界で高く評価されている。
知財に関しても戦略的に取り組んでおり、2025年時点で27件の特許権のほか、実用新案権1件、商標権8件を保有。インフラ関係の大手企業など他社との共同出願も多い。大企業との連携により、権利が適切に保護され、技術の信頼性も向上。社内に営業部がなくとも次々に引き合いの機会が舞い込み、ニーズ主導での開発を実現している。
事例集は、2026年3月までにウェブページで順次事例を公表し、その後100社の事例をまとめたデジタルブックを発行する予定となっている。
詳細は、https://www.jcci.or.jp/support/information/chizai_backstage/index.htmlを参照。