日本商工会議所は11月17日、要望書「高市内閣に望む」を取りまとめた。同日、日商の小林健会頭は、日本経済団体連合会の筒井義信会長、経済同友会の岩井睦雄代表幹事代行と共に高市早苗首相を訪問し、各団体の要望書を手渡した。
日商の小林会頭は、高市首相との会談で、「強い経済成長には二つある」と述べ、「国内投資の拡大」と「個人消費の増加」を挙げるとともに、中小企業の賃上げと成長投資の重要性を強調。新政権に対し、中小企業の自己変革に向けた商工会議所との協働と賃上げ環境整備を両輪で進める必要性を主張した。
要望では、わが国経済が、米国関税措置による不確実性の高まりなどを背景に、成長型経済への転換に向けた正念場を迎えているとの認識を示すとともに、中小企業がコストプッシュ型インフレをはじめ数多くの課題に直面しており、厳しい経営環境に置かれている現状を指摘。成長型経済へと移行し地域経済の好循環を実現するには、将来を見通したマクロ経済政策の推進や中小企業の「稼ぐ力」の強化、地域経済活性化に向けた政策の立案・実行が不可欠と主張している。
具体的には、①賃上げ、成長投資の原資を確保するための付加価値創出・拡大②地方への投資拡大と消費活性化による地域経済の好循環の実現③国民・企業を支える社会基盤の整備④大規模自然災害からの復興・再生――の4本柱を提示。新内閣に対し、安定した政治基盤の下、政策の停滞を招くことなく、十分な税財政措置を講じて諸課題に果断に取り組むことを要請している。
高市首相は、「今の暮らしや未来への不安を必ず希望に変えるという強い決意を持っている。そのためにも、何としても『強い経済』をつくっておかねばならない」と述べるとともに、所得向上、消費マインド改善、企業収益向上、研究開発・設備投資、賃上げがつくり出す好循環の実現を目指す方針を表明。また、「賃上げを企業に丸投げするのは無責任だと思っている」と述べ、賃上げ環境整備に全力を尽くす考えを示した。
