政府は7月18日、子どもの長期休暇の一部を他の時期に移すことで、大人と子どもが一緒にまとまった休暇を取る「キッズウィーク」の推進を目指す官民による推進会議の第1回会合を首相官邸で開催した。会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、「休み方は、本来、本人の希望や業務都合に応じて自主的に決められるものであり、規模や業種・業態がさまざまである企業に一律に適用することは非常に難しい」と述べ、中小企業や地域の実情を考慮するよう求めた。
「キッズウィーク」は、地域ごとに夏休みや冬休みなどの学校の長期休暇から、一部の休暇を他の日に移して休暇を分散化させ、学校が休みとなった日に大人も有給休暇を取得し、大人と子どもが共に休日を過ごす取り組み。政府は、休日の在り方を多様化させることで、観光需要の平準化による雇用の拡大や地域活性化につながると見込んでいる。今回発足した「『キッズウィーク』総合推進会議」で官民による意見交換や調整などを行うとともに、地域関係者が学校休業日設定や休暇促進方針・対策を検討する協議会を地域ごとに設置する方針だ。
三村会頭は、「キッズウィークは、子どもたちの長期の休みを分散し、家族が有給休暇を取得するきっかけとなり、地域の方々と絆を深めるという趣旨であれば、子どもたちの人間性を育むことにつながる有効な取り組み」と一定の評価を示した。一方、「キッズウィークを企業の休み方改革につなげるのは慎重であるべき」と警鐘を鳴らす。
日商の調査では、6割の中小企業が人手不足で、近年、深刻化が進んでいる。こうした状況から三村会頭は、「繁忙期などに社員の休みが集中すれば、人手の確保やシフト変更など、企業経営に大きく影響することは言うまでもない。中小企業の現場実態や地域の実情を考慮し、可能な範囲で自主的かつ段階的に導入していくという柔軟な進め方をお願いしたい」と強調した。また、「政策は打ち出すだけでなく、PDCAを回すことが何より重要」と指摘。国民に受け入れられるような制度とするために、適宜、取り組みの効果検証や見直しを行うよう求めた。
安倍晋三首相は「キッズウィーク定着のためには、学校側の努力だけでなく、企業においても、有給休暇の取得が促進される必要がある」と述べ、経済界への協力を要請した。
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