日本商工会議所は、2月のLOBO調査結果と共に、新型コロナウイルスによる経営への影響および事業者向け(BtoB)販売における販売先との取引条件についての調査結果を発表した。
新型コロナウイルスによる経営については、「影響が続いている」は2021年1月調査から6・2㌽増え、65・8%という結果になった。経営への影響が続いている企業は7割近くとなり、依然として高水準となっている。
10都府県で緊急事態宣言が延長されたこともあり、影響が続いている企業のうち、売り上げが30%以上減少した企業が5割を超えるなど、多くの企業で影響が生じていることが読み取れる。「現時点で影響がないが、今後マイナスの影響が出る懸念がある」を合わせると89・3%で、約9割を占めている。
新型コロナウイルスの影響を踏まえた雇用・採用関連の対応に関しては、「雇用調整助成金を検討・申し込み」が20年9月調査から2・9㌽減の43・1%、次いで「採用・派遣労働者の人数を縮小・見送る」は同調査から3・3㌽増加の42・7%となった。また、「従業員の人員整理を検討・実施」は同調査から1・9㌽増加の6・2%だった。特例措置が延長された雇用調整助成金などを活用し、懸命に雇用維持を図りつつも、厳しい経営環境が続く中、新型コロナウイルスの影響が長期化することへの懸念が見られる。
また、事業者向け(BtoB)販売における販売先との取引条件については、「取引条件が改善した」企業は10・5%と、20年2月調査から4・6㌽減少。「改善した事項はない・変わらない」は83・2%と同調査から3・1㌽増え、「取引条件はむしろ悪化している」は4・1%で同調査から1・0㌽増加した。
改善した取引条件は、「販売先からの支払いが手形から現金に変わった、サイトが短縮されたなど」が56・8%で最多だった。次いで「発注が口頭のみではなくなった、発注書に金額が記載されるようになったなど」が27・0%、「販売先による支払い遅延、代金の減額がなくなったなど」が16・2%となった。
前年度調査同様、8割以上の企業で取引条件の改善は見られないという結果となり、改善が進んでいない実態がうかがえる。一方で、新型コロナウイルスへの対応を契機とした、取引や手形の電子化などのデジタル化対応が進みつつあるという声も聞かれた。
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