各地でアリーナプロジェクトが立ち上がっています。例えば、横浜ではみなとみらい地区にぴあアリーナMMと命名予定で2020年4月開業予定です。青森県八戸市でも同時期にフラット八戸が開業。以降も数多くのアリーナが計画、建築中です。ちなみにアリーナ(arena)は、スタンド(傾斜がある階段状の観客席)に全周またはほぼ全周を囲まれた、闘技場・競技場・劇場などの施設のことです。スタジアムよりは収容規模が小さく、室内型の施設です。
こうしたアリーナの開業は、バスケットボール、バレーボールなどの人気スポーツやコンサートなどのイベント開催によるまちの活性化、周辺設備での雇用、周辺地域のにぎわい創出などが期待されます。大規模なスタジアムに比べて運営コストも安く、各種イベントの誘致や集客もやりやすいとの判断から建築が増えているのかもしれません。
日本でも成功例として注目度の高まるケースが生まれています。例えば、新潟県長岡市にあるアリーナ、商業施設、市役所が一体となった「アオーレ長岡」です。JR長岡駅から徒歩3分ほどにあり、2012年4月に開業。「アオーレ」は「会いましょう」を意味する長岡地域の方言で、さまざまな人と人、人とモノの出会いが生まれるという期待が込められています。外壁は長岡城で使用されていた市松模様をモチーフに地場産のスギ材で構成され、ナカドマ(中土間)と呼ばれる多目的広場、最大約4200席が設置可能なアリーナ、長岡市役所が共存しています。
この施設の開業で長岡駅周辺が一気に活性化。それまで中心市街地の空洞化で高齢者の生活に支障をきたしつつあった課題の解決にもつながったようです。最近は見学に訪れる各地の行政・まちづくり関係者が増えているとのことです。
こうしたアリーナ開業による地域活性化のポイントは何でしょうか? 一つは各地の身の丈に合ったサイズで開業すること、そしてもう一つが継続的にイベントを開催し続ける企画力だと思います。
アオーレ長岡は施設の稼働率が高く、当初は市側が仕掛けるイベントが相当数あったようですが、市民からの持ち込み企画も採用され、さまざまなイベントが頻繁に行われることで高い稼働率を維持しています。最近のイベントカレンダーを見ても興味深い企画がびっしり告知されています。この企画を生み出す努力に力を入れているから活性化できているのでしょう。人気スポーツチームの誘致も大事ですが、アリーナ周辺も含めてイベントでにぎわうための企画を生み出す工夫を凝らしていきたいですね。
(立教大学大学院非常勤講師・高城幸司)
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