日本商工会議所はこのほど、9月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、2019年度の所定内賃金の動向についてヒアリングした結果を発表した。2019年度に所定内賃金の引き上げを実施した企業(予定含む)は、前回(年9月)調査比3・8ポイント増の67・3%となった。「賃金の引き上げは見送る(予定含む)」は、同5・3ポイント減の15・8%、「現時点では未定」は、同1・5ポイント増の16・9%となった。
賃金を引き上げる主な理由は、「人材確保・定着やモチベーション向上のため」が90・5%と最も多く、「最低賃金引き上げのため」(21・2%)、「業績が改善しているため(見込み含む)」(15・8%)が続いた。
前回調査と比べ、賃上げを実施する企業が増加し、全体の約67%の企業が賃金を引き上げるという結果となり、3年連続で賃上げを実施する中小企業が6割を上回った。一方で、賃金を引き上げる理由では、最低賃金引き上げを理由とする割合が業績改善を理由とする割合を上回るなど、業績が厳しい中で賃上げを行っている中小企業が多いことがうかがえる。
ヒアリングした企業からは、「若年層の正社員およびパート・契約社員などの有期雇用者に限り、ベースアップを実施。また、『同一労働・同一賃金』について労使で議論し、2020年の施行に向けた条件整備に向けた取り組みを進めることを確認した」(小売り)、「最低賃金の引き上げにより、従来の賃金体系のバランスが崩れつつある」(建設用金属製造)といった声が寄せられた。
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