発酵のまち横手を発信する ゲストハウス運営や発泡酒づくりに挑戦
株式会社杢 代表取締役 阿部 円香(あべ・まどか)
地元に交流拠点をつくりたい
私は秋田県横手市で2017年、バーを備えたゲストハウス「Hostel&Bar CAMOSIBA(カモシバ)」をオープンしました。その後、事業を拡大する中で21年に法人化しました。
私には学生時代、バックパッカーとして海外を旅した経験があります。旅先のゲストハウスで現地の人や旅行者と交流を楽しんだ際、地元にもこんな場所があったらいいな、と思ったことが開業のきっかけでした。カモシバの由来は「醸す場」で、私の実家がこうじ店であることをはじめとする横手の発酵文化にちなんでいます。また、旅行者が地元の人などと交流でき、化学反応が起こる場になってほしい、そんな思いも込めています。
開業に当たっては、クラウドファンディングなどに挑戦し、資金を調達しました。元々お茶屋だった物件を友人たちとDIYでリノベーション。蔵をバーに、母屋をゲストハウスに生まれ変わらせました。バーではお酒のほか、漬物やみそ汁など、発酵食品を中心にした食事もそろえました。多くの人に応援してもらったおかげで、自分の求めていた空間をつくることができ、国内外からのお客さまの評判も上々でした。
目指すは地域への恩返し
20年、新たに始めたのが、ハードサイダーというジャンルのリンゴ発泡酒の企画・販売です。横手はリンゴなど果物の栽培が盛んで、ホップの産地でもあります。それらを活用したお酒づくりを目指していたときにハードサイダーに出合い、自由な発想で製造できる点に魅力を感じました。私やスタッフが本場である米国に研修に行くなど、勉強を重ねた後、「OK,ADAM(オーケーアダム)」というブランドを立ち上げ、県内のブルワリーに醸造を委託した商品を発売しました。
当時はコロナ禍によってカモシバのお客さまが減り、とても不安な状況でした。そんな中、オーケーアダムをオンラインショップなどで販売することで、カモシバに来られない人にも横手を感じてもらえることに、やりがいを覚えました。そこで、カモシバに程近い場所に醸造所をつくり、23年に自社醸造を開始しました。醸造所には飲食スペースを備えていて、出来たてのハードサイダーを提供することもできます。また、サウナ付き一棟貸し宿を併設し、ちょっとぜいたくな施設につくり上げました。
以前は「自分の好きなものが詰まった場をつくりたい」という気持ちが強かったのですが、今は「お世話になった地元に還元したい」という思いを強く持っています。今後は二つの施設を交流拠点として運営することで相乗効果を高め、近隣の企業とコラボレーションしたイベントなども積極的に行い、集客していきたいと考えています。また、オーケーアダムの海外での販売も目指しています。国内外の多くの人に横手を好きになってもらえ、地域の人たちが誇りに思えるような取り組みを進めていけたらうれしいです。
会社データ
社名 : 株式会社杢(もく)
所在地 : 秋田県横手市十文字町曙町7-3
電話 : 0182-23-5336
創業 : 2017年
事業概要 : 宿泊業(飲食店併設の簡易宿所の運営、酒類製造および販売)
【横手商工会議所】
HPはこちら : http://camosiba.com/
※月刊石垣2025年10月号に掲載された記事です。
