政府は10月3日、第37回新しい資本主義実現会議(議長・石破茂首相)を開催し、同会議での取り組みと課題について議論した。会議に出席した日本商工会議所の小林健会頭は、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に盛り込まれた政策について、「継続性を持って着実に推進してほしい」と要望。「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」に基づく施策については、迅速かつ実効性の高い執行に期待を表明した。また、経営支援体制の強化に向け、地方公共団体と緊密に連携した着実な取り組みと予算措置を求めた。
設備投資を促すビジネス環境整備については、「価格転嫁など取引の適正化や地域を支える企業の成長力強化に資する」との認識の下、事業承継税制の特例措置の恒久化を強く求めた。
最低賃金については、日商調査において、「2020年代中に全国加重平均1500円」とする政府目標に対し、中小企業の7割超が「対応は不可能もしくは困難」と回答したことなどに触れ、「実態を踏まえた目標とは言い難い」と指摘。「最低賃金への対応ができず、廃業を選択する企業が増えると、地方の商業・生活インフラに穴が空くことになりかねない」と強い懸念を改めて表明した。
石破首相は、現内閣の成果として、過去最高水準となった賃上げの実現などを挙げ、「新しい資本主義の実現に向けた歩みは前進した」と強調。一方で、社会全体で「中間層」の割合が減少傾向にあることなどに触れ、「国民の安心に関わる課題は残っている」との認識を示すとともに「次の内閣には、残された課題、政策対応の方向性を引き継いでいく」との方針を表明した。
