日本商工会議所の臨時会員総会で選任された小林健会頭は11月20日、11人の副会頭と共に臨時会員総会後に第期新体制で初めての記者会見に臨んだ。小林会頭は、「変革と価値共創による日本経済の再出発」をスローガンに掲げ、企業などの自己変革とともに、地域間や企業間の連携による共創を推進する方針を表明した。
小林会頭は、政府の総合経済対策について、「思った以上に金額が膨らんだ」と第一印象を語った一方、「金額もさることながら、各施策をいかに迅速に実行するかにかかっている」と述べ、政府が実行可能な施策から迅速に着手していく重要性を指摘した。また、「われわれにとって最も重要」として「重点支援地方交付金」を挙げ、国と自治体に対し「金額や使途など詳細を早急に詰めてもらいたい」と要望した。
高市政権のマーケットとの対話については、「まだ十分とは言えない。市場を動かすには政府がある程度の『力』を示す必要がある」と強調。現在の為替水準について「限度を超えている」と述べ、金利政策や為替介入など、さまざまな手段の果敢な実行を求めた。
賃上げについては、同日公表した「2025年度の中小企業の賃上げに関する調査」において、正社員の賃上げ率が加重平均で4・73%との結果が出たことに触れ、「予想よりも高く、中小企業が健闘した結果」と評価した一方で、「人手不足が深刻化する中、企業として賃上げせざるを得ない状況が続いている」と懸念を示した。連合が示した来年春闘における中小企業の賃上げ目標「6%以上」については、「今後の米国関税措置や日中関係などの情勢によって企業の対応も変わり得る。心意気は理解するが、しばらく経過を見ないと判断できない」と述べた。
日中関係については、「両国の外交目標はステータス・クオ(現状維持)であり、現状変更しないことが戦略的互恵関係の土台となるコンセンサスである」と指摘。「周辺情勢が変化する中でも現状維持を戦略的に考え、実行していくことが日中関係の基本的姿勢だ」との認識を強調した。
