日本商工会議所はこのほど、2月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、事業者向け(BtoB)販売における販売先との取引条件についてヒアリングした結果を発表した。BtoB販売をしている企業のうち、「改善した事項はない・変わらない」と回答した企業は80・1%となり、2019年2月調査から2・0ポイント増加した。「取引条件が改善した」は15・1%で同2・3ポイント減少、「取引条件はむしろ悪化している」は3.1%で同0・6ポイント増加となった。
改善した取引条件は、「販売先からの支払いが手形から現金に変わった、サイトが短縮されたなど」が62・4%で最も多かった。次いで「発注が口頭のみではなくなった、発注書に金額が記載されるようになったなど」が40・8%、「販売先による支払い遅延、代金の減額がなくなったなど」が17・8%となった。
ヒアリングした企業からは、「下請代金支払遅延等防止法の運用により、大手ゼネコンを中心に取引が改善した。一方で、法律の対象とならない取引は改善がなかなか進まない」(木材・木製品製造業)、「学校など、教育機関関係の取引において、支払いが学期末・年度末のみという場合が多数あり、業界の商慣習だと思うが、資金繰りが圧迫されている」(紙・文房具小売業)といった意見が寄せられた。
このように、前年度調査に引き続き、約8割の企業で取引条件の改善は見られないという結果となり、中小企業において取引条件の改善が進んでいない実態がうかがえる。企業からは下請代金支払遅延等防止法の対象となる取引では改善が進んでいるものの、それ以外の取引の改善は進んでいないといった声が聞かれた。
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