日本商工会議所はこのほど、「最低賃金引き上げの影響に関する調査」の結果を公表した。前年度の最低賃金引き上げの直接的な影響を受けた(最低賃金を下回ったため賃金を引き上げた)中小企業の割合は、前回(2018年度)調査の33・0%と比べ5・4ポイント上昇し、38・4%となった。最低賃金の大幅な引き上げに伴う中小企業への影響が広がっていることがうかがえる。調査期間は3月25日~4月25日。全国2775社から回答を得た。
最低賃金引き上げの直接的な影響を受けた中小企業を業種別で見ると、「宿泊・飲食業(55・1%)」「介護・看護(49・0%)」「運輸業(45・0%」の順で影響を受けている企業の割合が高かった。
仮に、今年度の最低賃金が10~40円引き上げになった場合の経営への影響の有無を聞いたところ、10円引き上げられた場合に「影響がある」と回答した企業の割合は34・9%に上った。また、30円および40円の引き上げとなった場合、30円で58・7%、40円で63・3%の企業が「影響がある」と回答した。
今年度の最低賃金の全国加重平均が30円および40円の引き上げとなった場合に「影響がある」と回答した企業に対応策を聞いたところ、「設備投資の抑制など」がいずれも場合も40%超と最も多く、「正社員の残業時間を削減」「一時金を削減」が後に続いた。最低賃金の大幅な引き上げは、設備投資による生産性向上の阻害要因になることに加え、賃金増に必ずしも直結しないことがうかがえる。
最低賃金引き上げに対応するために必要と考える支援策は、「税・社会保険料負担の軽減」が65・2%で最多。次いで「助成金の拡充・使い勝手の向上」が46・8%となった。また、「生産性向上に向けた設備投資支援」「人材育成、教育への支援」「価格転嫁・下請取引の適正化」がそれぞれ3割程度あった。
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