日本商工会議所は6月30日、6月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。6月の全産業合計の業況DIは、マイナス14・5と、前月からプラス1・7ポイントの改善となった。調査期間は6月15~21日。全国423商工会議所が3468企業にヒアリングした。
調査結果では、電子部品、自動車関連の生産・輸出や、建設・設備投資の堅調な動きが続いているほか、それらの関連商品を中心に卸売業の業況感が改善した。また、インバウンドを含め好調な観光需要を取り込んだ小売業に持ち直しの動きが見られた。他方、日商では、「消費者の節約志向や人手不足の影響拡大、原材料費・運送費の上昇を指摘する声が多く聞かれるなど、中小企業のマインドには依然として鈍さが見られる」と分析している。
ヒアリングした企業からは、「工事発注は増加しているが、技術者不足であるため、案件を選別せざるを得ない。人材確保を目的に賃上げを行い、人手不足の解消に努める」(電気工事)、「設備投資関連の需要が底堅く推移しているため、売り上げは前年同月の水準を確保できている。ただし、鉄鋼やステンレスなどの原材料価格が5%程度上昇しており、採算は悪化」(一般機械器具製造)、「引き続き消費者の節約志向は根強く、卸先の食品小売業の売り上げが低迷しており、当社の売り上げも悪化した。まちに活気が感じられないため、今後の見通しも厳しい」(食品卸売)といった声が聞かれた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス14・7(6月比マイナス0・2ポイント)とほぼ横ばいを見込んでいる。輸出や設備投資の拡大に加えて、インバウンドを含む観光需要や中元商戦、夏のセールなど、消費の回復に期待する声が聞かれる。他方、人手不足の影響拡大をはじめ、消費者の節約志向、原材料費・運送費の上昇、地政学的リスクなどへの懸念から、中小企業においては業績改善に確信を持てずにいる企業が多く、業況感は横ばい圏内との見方が続いている。
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