日本商工会議所は6月15日、「中小企業の生産性向上に向けたFinTechの活用に関する意見」を取りまとめ、政府など関係各方面に提出した。日商の西村貞一中小企業委員長(大阪・副会頭)と石田徹専務理事は27日、経済産業省の松村祥史副大臣、内閣府の越智隆雄副大臣を訪問。意見書を直接手交し、意見書の内容の実現を強く求めた。「FinTech(フィンテック)」(FinanceとTechnologyを組み合わせた造語)とは、ITを活用した革新的な金融サービス。意見書では、金融サービスや経済活動そのものが変わる中、中小企業がフィンテックを生産性向上の実現に向けたチャンスと捉え、積極的に活用できるようにするために、中小企業や商工会議所、国における「今後の対応」などを取りまとめている。(関連記事2面に)
意見書では、フィンテックが中小企業に与える影響として、資金管理、決済、資金調達といった金融の利便性向上を指摘。クラウド会計やモバイルPOSレジの導入により、会計・販売動向などをリアルタイムに把握できることや、クレジットカード、電子マネー、スマホ決済などのキャッシュレス決済に対応することで、顧客減少の回避や業務の効率化を実現できるとしている。 こうした中小企業によるフィンテックの活用に向けた今後の対応として、意見書では政府に対して補助金などによるビジネスアプリの導入・活用支援、低費用負担で利用できるキャッシュレス決済などの金融インフラ整備、クラウドファンディングをはじめ資金調達の多様化など中小企業への支援強化を求めている。また、複数ビジネスアプリに精通したIT支援人材やIT事業者の育成・リスト化・法認定、ビジネスアプリ・コーディネーターの創設なども盛り込んでいる。 一方、商工会議所としても、経営指導員のスキル向上、IT支援人材・IT事業者との連携といった支援体制構築、IT施策の情報発信、ITに関するセミナーや相談会の開催を強化していくことが必要と指摘。また、経営指導員による個別相談などにより、経営課題の抽出、計画策定、ITツールの導入、軽減税率対策補助金の活用といった伴走支援に取り組んでいく考えを示した。
最新号を紙面で読める!