飯能商工会議所(埼玉県)の新商工会館が第24回木材活用コンクールで優秀賞(一般社団法人全国木材組合連合会会長賞)に選定された。全国から応募のあった114作品の中でもひときわ目を引く地元特産の西川材を活用して建てられた地産地消型の木造建築である会館は、木の良さが生かされている点や、木材の新しい用途の普及に寄与している点などが高く評価された。
木造2階建て(延べ床面積約783平方メートル)の同会館は、市の地域資源である西川材が多用され、温かい木のぬくもりが感じられるデザイン。東・西棟をつなぐ通路で構成された開放的で独創的な美しい空間が特徴だ。地域の商工業者の拠点として、材料だけでなく地元の企業や職人の技術も細部に至るまで生かされている。
1964年に建設された旧商工会館は、老朽化が進行したことで建て替えを決定。野沢正光建築工房の基本設計・実施設計と細田建設の施工で、「地域商工業振興の拠点」「観光振興の拠点」「地域材である西川材の需要喚起となるモデル拠点」「市民の交流拠点」の四つのコンセプトを具現化している。
同コンクールは、木材の新たな利用、普及の可能性をさぐり、木材業界の活性化に寄与することを目的として97年に創設。第24回となる今回は、「木の良さが生かされているもの」「木材の利用を通じて豊かな暮らしや社会を実現するもの」「未来の山を創るために、国産木材を巧みに利用したもの」などの基準による厳正な審査の結果、同会館が優秀賞に選ばれた。
2020年10月には、木で暮らしと社会を豊かにするモノ・コトを表彰する第6回「ウッドデザイン賞2020」のソーシャルデザイン部門(木を使って地域や社会を活性化している)にも入賞している。
同所は、総合的な相談窓口や検定試験会場など商工業振興の拠点であると同時に、観光情報の発信や市民・コミュニティの交流拠点としても活用していく。
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