政府は6月18日、首相官邸で、第12回成長戦略会議と第9回経済財政諮問会議の合同会議を開催し、骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2021)と成長戦略実行計画を取りまとめ、同日、閣議決定した。
会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、今回の成長戦略に「社会経済課題の解決」と「成長による経済力強化」を車の両輪として同時に追い求める内容となっていることを高く評価。その上で、経済や医療の安全保障、大都市への人口集中、気候変動・大規模災害など、コロナ禍を契機に顕在化した社会経済課題の解決のための政策や、経済力強化のための幅広い政策について、「スピード感を持って着実に実行していただきたい」と注文を付けた。
デジタル化やグリーン対策については「成長の原動力として強力に推進すべき」と述べるとともに、「2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、政府には、民間のイノベーションへの挑戦を力強く促す積極的な支援を求めたい」と強調。「増大する電力需要を賄い、経済と環境の両立を実現するためには、原子力の活用が不可欠であり、安全性を最優先として再稼働・新増設・リプレースなどに真正面から取り組むべき」との考えを示した。
地域経済活性化に関しては、生産性向上に取り組む中小企業への支援、地方への人の流れの拡大、観光地の再生、農林水産業の成長産業化などの施策を評価。中小企業の円滑な事業再生に向けては、「私的整理のガイドライン策定などの対応を、できる限り早期にお願いしたい」と政府の対応を求めた。
また、実行計画の冒頭で「成長と分配の好循環」の道筋が示されたことを評価した上で、最低賃金について、「感染症の影響を受けて、極めて厳しい経営環境の企業もある足元の状況を踏まえれば、今年も現行水準が維持されることを強く望む」と要請。最低賃金の審議会における議論で客観的データに基づき、慎重かつ公正な検討が行われることへの期待を表明した。
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