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SDGs推進本部 「脱炭素」実現目指す 国連に進捗状況報告へ

政府はこのほど、首相官邸で、第10回持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合(本部長・菅義偉首相)を開催し、わが国のSDGsの取り組みの進捗(しんちょく)状況を評価した「ポスト・コロナ時代のSDGs達成へ向けて」と題する報告書(自発的国家レビュー(VNR)を決定した。報告書は7月に国連で開催されるハイレベル政治フォーラム(HLPF)で発表。日本が国連にVNRを提出するのは、4年ぶり2回目のこととなる。

会合で、菅首相は、「ポスト・コロナ時代における持続可能な開発目標の達成に向けては、世界が団結して取り組むとともに、前例にとらわれない戦略を立て、取り組みを加速する」と述べるとともに、特に、気候変動問題は人類全体で解決を目指すべき待ったなしの課題として、「2050年カーボンニュートラルの実現を目指した施策を講じていく」との考えを表明。関係閣僚に対して、VNRに取りまとめたビジョンに沿ってSDGS達成の実現に向けた取り組みを一層加速していくよう指示した。

今回のVNRでは、新型コロナウイルス感染症の拡大を越えて、「よりよい回復」に向けて取り組むため、日本がどのようにSDGs推進に取り組んできたかを検証。SDGs達成に向けたビジョン、推進体制、国内の認知度向上や啓発・普及のための活動、8項目の優先課題と主な取り組み、17の目標の達成状況などを具体的に盛り込んでいる。

わが国が、特に注力すべき優先課題は、「あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現」「健康・長寿の達成」「成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション」「持続可能で強靱(きょうじん)な国土と質の高いインフラの整備」「省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会」「生物多様性、森林、海洋等の環境の保全」「平和と安全・安心社会の実現」「SDGs実施推進の体制と手段」の8項目。課題ごとに国内実施と国際協力の両面で進めた主な取り組みをアピールする内容となっている。

17の目標の達成状況については、政府による評価と有識者で構成する円卓会議民間構成員による評価を併記した。

⑴ 政府による評価の概要

・再エネ比率は18%(2019年度)にまで拡大。導入量は再エネ全体で世界第6位(2018年)、太陽光発電は世界第3位(2018年)となり、再エネの導入は着実に進展している。温室効果ガスの総排出量は、2014年度以降、6年連続減少。

・学習指導要領の改訂が行われ、持続可能な開発のための教育(ESD)の理念が盛り込まれた。

・女性活躍は一定の前進が見られているが、日本のジェンダー・ギャップ指数の総合順位は156カ国中120位。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が、女性に特に強く表れている。

・2020年は11年ぶりに自殺者数が増加し、特に女性の自殺者数は前年と比べて935人増加。

・2018年の「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合)は15・4%(対2015年マイナス0・3ポイント)。新型コロナウイルス感染症の拡大は、今後の状況変化を要注視。

⑵ 円卓会議民間構成員による評価の概要

・経営陣のSDGs認知・定着率は85%(2020年、「SDGs実態調査」)となり企業経営にSDGsが浸透。一般のSDGs認知度は50%を初めて超えた(2021年、朝日新聞調査)。

・2020年初頭からコロナ克服のための国際協調に取り組み、COVAX、ACTアクセラレーターの創設や資金拠出にも積極的に取り組んだことは高い評価。

・国内では300を超える自治体がゼロカーボンシティを表明。企業レベルにおいても、「SDGs実態調査」では90%以上の企業が脱炭素化に向けた取り組みを進めている。2050年に実質的排出をゼロにするという目標に鑑みると、再エネの大幅な増加にはいまだほど遠い。

・京都コングレスを開催して国際的な役割を果たしており、司法・犯罪対策、途上国の法制度整備に取り組んでいる。

・貧困率は2018年で15・4%、6人に1人が貧困。子どもの貧困率は13・5%で7人に1人の子どもが貧困。

・外国籍の児童・生徒のうち、6人に1人(約16%)が小学校・中学校に通えていない。

・ジェンダーギャップが深刻化。新型コロナウイルス感染症の拡大で家賃延滞などが発生。「生理の貧困」問題も顕在化。女性の自殺率は、2020年10月の調査によれば前年比86%増。20代、40代では2倍に増加。