政府はこのほど、全世代型社会保障構築本部の下に設置した少子化対策、こども・子育て政策の強化などについて検討する「こども未来戦略会議」(議長・岸田文雄首相)の初会合を開催した。会議に出席した日本商工会議所の小林健会頭は、 賃上げのモメンタムに水を差さない政策と財源の議論を行うことなどを要請。岸田首相は「6月の骨太方針までに、将来的なこども・子育て予算の倍増に向けた大枠を示す」との考えを示した。
会議には日商の小林会頭、経団連の十倉雅和会長、経済同友会の新浪剛史代表幹事ら経済界代表、各界の有識者などが参画。政府が3月末に公表した少子化対策「こども・子育て政策の強化について(試案)」に盛り込まれた論点などについて 意見交換を行った。
小林会頭は、「まず、わが国をどのような国にしたいか、国民の幸福をどう実現するか、将来像・全体像を示すことが必要」と述べた上で、「賃上げのモメンタムに水を差さない政策と財源の議論を行うべき」と強調。地方や中小企業が取り組める実効性のある施策の重要性も指摘した。
政府が試案の基本理念に掲げる「若い世代の所得を増やす」「社会全体の構造・意識を変える」「全ての子育て世帯を切れ目なく支援する」の3点については、「いずれも重要」と述べ、中小企業の従業員とその家族の子育てや働き方に関する環 境が向上するような検討の必要性を強調。給付施策については、過去30年以上にわたる政策の有効性を検証することを求めた。
岸田首相は、「若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もが子供を持ち、ストレスを感じることなく子育てができる。子供たちが分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会を目指す」と強調。「こども・子育て政策を大胆に、強力に前に進めていく」と述べ、政策強化に意欲を示した。
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