客室稼働率が回復 宿泊業は好調
出張で福岡に行ったついでに博多駅前周辺を散策してみました。すると、新規オープンしたホテルをたくさん発見。ちなみに自分が宿泊したホテルもオープン半年以内。新しいホテルはピカピカで、気持ちよく過ごせました。
ついでと言っては何ですが、ホテルの稼働状況はどうなのかスタッフに聞いてみると、満室状況が続いているとのこと。そうした理由からなのか、「新たなホテルがオープンする予定です」と割引券をいただきました。それだけ新規オープンしても十分な稼働が見込める状況ということなのでしょう。
ここ最近、全国の平均ホテルの客室稼働率は7割を超えており、コロナ禍の昨年比で見ると3割以上の大幅増加。全国旅行支援、外国人観光客の戻り、コロナ禍で開催できなかったイベントの再開など、好材料がそろっているとはいえ、この好調さが継続しそうとの見込みがあるからホテルの新規オープンが続くのでしょう。
このように新規オープンのホテルが増えると、宿泊者が集結している場所ににぎわいが生まれます。
地域ぐるみで協力しビジネス機会創出を
ホテルのグレードで宿泊者の特徴は違いますが、ホテル周辺に外出して買い物したり、食事をしたり、時にはアクティビティーを楽しんだり……。そんな外出の機会は重要なビジネスチャンス。地域ぐるみで協力して、楽しみ、消費していただく工夫を凝らすべきでしょう。
では、どのような方法があるのか? インバウンド支援で有名なWAmazing(ワメイジング)社の加藤社長から教えていただいた、地域に泊まるという新しい体験、「アルベルゴ・ディフーゾ(分散型ホテル)」を思い出しました。まちごと宿泊施設のように散策できる環境整備と導線を構築して宿泊者を受け入れる手法として、イタリアでスタート。現在は日本でも取り組みが広がりつつあります。
地方なら岡山県の矢掛町(やかげちょう)で町の中に点在する空き家を一体化した宿として活用したケース。都市部であれば、大阪に本社を構えるSEKAI HOTEL(セカイホテル)が「旅先の日常に飛び込む」体験ができる施設として全国で開業中。ホテルの客室としてのファシリティーはミニマムにし、地域に愛されているお店にホテルの機能を担ってもらうことでゲストにはまちを探索し、さまざまな発見をしてもらいながら〝まちごと〟楽しんでもらえるような導線を提供しています。例えば、ホテルの〝大浴場〟として銭湯、〝朝食会場〟として喫茶店など、地元民に愛されているローカルなお店に行ってもらうなど。こうした宿泊施設の集結・取り組みは新たな地域の活力とビジネス機会につながるはずです。
(立教大学大学院非常勤講師・高城幸司)
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