独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)は11月21日、2023年版海外進出日系企業実態調査(全世界編)を取りまとめ、公表した。調査結果では、23年の営業利益について黒字を見込む企業は63.4%で、20年以来、3年ぶりに低下。規模別では、大企業が68.9%で22年(68.5%)から増加した一方、中小企業では53.6%と22年(57.8%)から減少し、大企業との差が広がっている。
今後1~2年で、現地事業を「拡大」すると回答した企業は47.0%(前年比1.6ポイント増)で微増、主要国・地域別ではインド(75.6%)、ブラジル(68.9%)、南アフリカ(57.7%)が上位を占めた。一方、中国では27.7%で、調査開始以来、初めて3割を下回った。半面、「第三国への移転・撤退」を見込む企業は1%未満。ジェトロでは、「ビジネスの継続へ、慎重に取り組む姿勢が伺える」と分析している。
インドやブラジル、南アフリカなど、グローバルサウスの主要国では、旺盛な内需が進出企業の業績改善を後押し。周辺国・地域市場開拓も見据えた現地事業拡大意欲が高まっている。 サプライチェーンにおける人権を重要な経営課題と認識する企業は8割超。前年比で20ポイント超増加。他方、人権デューディリジェンス(DD)を実施する企業は3割に至らず、前年から横ばい。
人材不足の課題に直面する日系企業は全体で51.5%。主要国・地域別では、欧米先進国でより深刻となっており、米国やオランダでは7割超の企業で課題となっている。23年の賃金ベースアップ率(名目)は、インドで9.8%、メキシコで8.0%と高い。一方、欧州先進国やシンガポールでは、高止まりするインフレ率に賃金ベースアップが追い付かない状況が続いている。
調査は、23年8月から9月にかけて、海外83カ国・地域の日系企業(日本側出資比率が10%以上の現地法人、日本企業の支店、駐在員事務所)1万8726社を対象に、オンライン配布・回収によるアンケートを実施。有効回答は7632社(有効回答率40.8%)だった。
詳細は、https://www.jetro.go.jp/news/releases/2023/9eb22f532a7ab91d.htmlを参照。
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