今年度のYEGフラッシュは、商工会議所(親会)とYEGの良好な関係をご紹介します。タイトルの「藍と青」は、渋沢栄一翁の生家の家業が藍農家であったことから、藍を親、青をYEGとし、一般的にいわれる師弟のことではなく、「君子曰く、学は以て已(や)むべからず(学問は中断してはいけない。努力すればするほど精錬されて優れたものになる)」という本来の意味に立って取材します。
埼玉県の南東部に位置し、草加せんべいでも知られる草加市は県内6位の人口を有する都市だ。そんな草加市における草加商工会議所と草加YEGとの関係性をわれわれ石垣チームが探った。
YEGとの関係性の変化
十数年前、草加商工会議所と草加YEGの関係性は必ずしも良いものではなかった。当時のYEGメンバーは親会に相談をせず事業を進め、問題も多かったという。 「青年部には任せられない、と言われた時代がありました」。そう話すのは草加YEG会長の桑原信人さんだ。「当時の先輩方は、一言でいえばやんちゃだったという話を聞いています」
時代は流れ、そうした過去を知る人も少なくなった。メンバーが変われば意識も変わる。今ではずいぶん様変わりし、親会と一体となった事業も増えてきたという。実際の事業を通じて、その関係性の秘訣(ひけつ)を聞く。
密接な連携協力の下で三つの事業を実施
当時の単会会長から、親会へ依頼があり協業でスタートしたのが「コミュニティフリッジ草加」事業だ。ドイツ発祥の公共冷蔵庫を参考にした事業で、日本では岡山県が先進的に行う。地域の提携業者から提供された食品を保管し、登録した人が自由に持ち帰ることができる仕組みだ。フードロスを抑制し、地域の貧困問題をカバーするSDGs事業として注目されている。
紆余(うよ)曲折を経て、運営はYEG、検品や納品はB型就労支援団体へ委託する現在の形に落ち着いた。運営費用が課題ではあったが、親会の協力で広告協賛を取り付け解決した。さらには、同事業の活動が認められ、社会に貢献している団体を表彰する「第4回SDGs岩佐賞」(農林水産・食の部)を受賞。全国的なPRとなり、得た賞金は活動強化の一助となった。
「YEGらんど事業」は、親会主体の「草加商工会議所まつり」の翌日にYEG主体で行う祭りだ。ステージを使って踊りなども披露され、主に、子どもたちが楽しめる内容で、ファミリー層に人気がある。
親会から青年部に「やってみるか?」と声を掛けてもらったことがきっかけだった。YEGから親会実行委員会へ出向し、親会とのパイプ役を担う。1日目のステージをそのまま活用できる点で費用を抑え、環境負荷にも配慮している。長く続けていくことで、信頼と実績が積み重ねられ、事務局として実行委員会に参画するようになっている。
また、野崎友義会頭の個人的なつながりを活用した家族交流事業もある。長野県小県(ちいさがた)郡での「青木村ファミリーキャンプ事業」だ。青木村の村長と会頭に縁があり、YEG内で紹介すると好意的な反応が多く、ぜひ関わっていってほしいとの話があったのだ。
現在は2年連続で、子どもたちの夏休みに合わせて実施しており、今年度も計画中。青木村の村長、会頭ともにキャンプに顔を出してくれるなど、楽しみにされているのを感じている。青年部の家族も、村長や会頭との交流を身近に感じているようだ。
信頼と実績の積み重ねが良好な距離感を生む
十数年前と比べて大きく変わったことの一つは、親会との距離感だ。「コミュニティフリッジ事業」での広告協力、「YEGらんど事業」でのステージ共有などは、いずれも距離感が近くなければ実現はしない。
さらに親会としてというより、会頭、副会頭個人とYEGメンバーとの距離感が近くなっていることにも驚く。「YEGらんど事業」では、当初は顔出し程度の予定であった会頭や副会頭が終日見守ってくれたこともあったそうだ。会頭や副会頭から個人として応援をしてもらう機会が多いのも、距離感が近くなっている証しである。 「言葉にはされていないが、事業を通じて青年部の成長を期待してもらっていると感じている」と桑原会長。先輩たちの積み重ねた信頼と実績の大きさを感じている。
商工会議所活動への協力で認知度がアップ
地元企業と連携して行う事業が多く、事業所との接点が増えるため、近年では、親会へ入会した人が青年部へ入会するパターンも増えたそうだ。事業がメディアで取り上げられ認知されると、会長に直接あいさつしたいと連絡をくれる事業所も出ているという。
また、親会内部の変化もある。青年部OBの常議員も増えてきているというのだ。そのため、YEGとしっかりとした関係性を維持していくことが親会にとっても重要なのかもしれない。少なくとも、あらゆる商工会議所活動に対して協力的なことも、YEGへの評価が高くなっている要因の一つといえよう。
現行事業を継続しより強固な関係を構築
「会頭から非常に大きな理解と協力をいただいており、今後も親会と協力しながらやっていけるような体制だとうれしい。現行事業も継続しながら、より強固な関係を構築していきたい」と桑原会長は語る。
若者の流出など地域が抱える課題もある。各事業を継続することで地域社会に貢献し、さらにそれらを通じて地元企業も同時に成長していけるような組織として、これからも親会と協力し合える距離感が重要であると感じた。
<聞き手:広報☆ブランディング委員会 石垣チーム>
【草加商工会議所青年部】
会 頭 : 野崎 友義
設 立 : 1992年4月
会員数 : 3500人
住 所:埼玉県草加市中央2-16-10
スローガン:「行動する商工会議所」
HP:https://www.sokacity.or.jp/
【草加YEG】
会 長:桑原 信人
会員数:94人
創 立:1992年4月
スローガン:「次代へのアクション!
~研鑽(けんさん)に努め交流の輪を広げよう~」
HP:https://yeg-soka.jp/
編集後記
村本 静(宮古島YEG) ハイサイ!がんずーかりうまんなー?(こんにちは!お元気ですか?) ⽯垣5⽉号をお読みいただき、ありがとうございます。取材にご協⼒いただいた草加YEGの皆さまへ、⼼より感謝申し上げます。委員会メンバーの⼒を合わせ、⼼を込めて引き続き全⼒で取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いいたします。 だーいず、んむっし!ぷからす!たんでぃがぁーたんでぃ!(とっても、楽しい!うれしい!ありがとう!) あつかー、またいら。(それでは、またね)
取材・写真撮影:日本商工会議所青年部(日本YEG)広報☆ブランディング委員会
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