日本・東京商工会議所はこのほど、「中小企業における最低賃金の影響に関する調査」の結果を公表した。同調査は、中小企業における最低賃金引き上げの影響や政府目標への受け止めについて実態を把握し、意見・要望活動に生かすことを目的に実施。調査結果によると、現在の最低賃金の負担感については、「大いに負担」(32・3%)、「多少は負担」(43・7%)で、二つの回答を合わせると76・0%に上った。地域別・規模別で見ると、地方は77・5%に達し、都市部(67・9%)を9・6㌽上回る結果となった。
2024年の最低賃金引き上げの影響は、「最低賃金を下回る従業員がいたため、賃金を引き上げた」と回答した中小企業が44・3%と、前年調査(38・4%)から5・9㌽増加。地方では46・4%に達し、都市部(32・4%)より14ポイント高い結果となった。
「2020年代に全国加重平均1500円」とする新たな政府目標については、「対応不可能」(19・7%)と「対応は困難」(54・5%)の二つ の回答が全体の74・2%を占めた。また、25年度から政府目標通りの最低賃金引き上げ(7・3%、89円)が行われた場合の想定される具体的な影響については、「人件費以外のコストの削減」(39・6%)が最も多く、次いで、「残業時間・シフトの削減」(31・3%)、「他の従業員の賃上げ抑制、一時金などの削減」(25・0%)、「従業員数の削減・採用の抑制」(24・0%)が続く。また、「収益悪化により、事業継続が困難(廃業、休業などの検討)」との回答も1割を超え(15・9%)、同回答の割合を地域別・規模別で見ると、「地方・小規模企業」においては20・1%に達し、都市部(13・6%)に比べて6・5ポイント高い結果となった。
対応可能な最低賃金引き上げの水準については、「年平均1%未満」から「年平均3%程度」までを合計すると約7割(67・9%)を占め、政府目標通りの引き上げに「対応可能」と回答した企業は全体の1・0%にとどまった。
調査対象は、全国47都道府県の中小企業。調査期間は、25年1月20日~2月14日で、回答企業数は3958社だった。