米国のトランプ政権は日替わりのように新たな関税政策を発表、世界経済を振り回している。日本をはじめとする各国は、交渉によって相互関税の引き下げを求めているが、大きな譲歩を引き出すことはできないだろう。「関税による米製造業の再生」はトランプ大統領の信念で、政権の存在意義でもあるからだ。日本企業はトランプ関税を前提とした経営戦略に転換せざるを得ない。その時、心掛けるべきことは本連載3月号で述べた「探索と分散」である。
「探索」は関税動向に目を向けることではない。トランプ関税が引き起こす商流・物流の変化、生産地・生産企業のシフト、新たな市場の勃興などに目を向けることだ。もちろん、そうした変化は当初は小さな芽であったり、ささやかな流れの転換だったりするため見落としがちで、見通しの悪い中での動きでもある。だからこそ、手探りで、触手を伸ばして変化を探る必要がある。