経済産業省、厚生労働省、文部科学省が共同で作成した「2025年版ものづくり白書」(令和6年度ものづくり基盤技術の振興施策)が5月30日、閣議決定された。ものづくり白書は1999年に議員立法で成立した「ものづくり基盤技術振興基本法」に基づく法定白書として、2001年から毎年国会に提出されている。
今年の白書は、ものづくりに関するその年の課題や政府の取り組みを掲載する第1部と、ものづくり振興施策をまとめた第2部で構成。近年、世界各国の経済産業政策において、産業競争力・脱炭素・経済安全保障の3要素を複合的に捉える動きが進んでいるとの認識の下、「事業環境の不確実性が高まる中、脱炭素、経済安全保障の観点を考慮した中長期的な成長投資を行うことが重要」と指摘するとともに、産業競争力の強化に向け、稼ぐ力の向上やGXの推進などに資する取り組みとして、DX推進の重要性を強調している。
経済安全保障については、製造事業者の6割が未対応との調査結果が出た一方で、先行する取り組み事業者においては、中長期的にはコストよりも効果を評価する声が多いことに言及。持続的成長に向け、「まずは自社にとっての経済安全保障への対応の必要性を理解することが必要」と指摘した上で、「自社に適した社内体制や実施プロセスを確立させながら、中長期的な目線で主体的に取り組むことが必要」との認識を示した。
DX推進については、ビジネスモデルの変革など、高度かつ広域な領域での成果創出には経営層のコミットメントが重要と指摘。また、産業横断での競争力強化に向け、サプライチェーン上の企業間で協力・連携し合って業務効率を向上し、製品・サービスの付加価値を高める取り組みの必要性を強調した。