訪日客向けが盛況 日本らしさ求める
今年の夏休み期間における過ごし方の調査(インテージ)によると、予算総額の平均は前年比2%減の5万7284円。減少は2年連続となっています。物価高や円安の影響もありますが、猛暑で屋外活動は無理、自宅で過ごすと回答した人が増加。アウトドアで思い出に残る体験=アクティビティーを諦めたとすれば、気候変動は夏休みの過ごし方にまで、悪影響を及ぼしているのですね。
さて、アクティビティーとは、体を動かしたり「体験」を伴ったりする活動のこと。アウトドア型(シュノーケリング、ラフティングなど)、文化体験型(ものづくり、伝統文化など)などが含まれます。こうした体験提供で新たなビジネスが生まれ、広がりを見せています。具体的には、訪日外国人旅行者が着付け、日本食づくり、忍者、茶道、和太鼓など日本らしい体験を希望。食事や土産と並ぶような消費を行うので、関連する企業が幾つも出てきました。
例えば、チャンバラ合戦や水合戦など戦国時代の世界観を体験できるアクティビティーを提供する会社や、アクティビティジャパンのような体験予約サイトも立ち上がりました。ちなみに人気の高いアクティビティーの一つが「新宿の東京バー巡りツアー」。路地裏のバーで日本らしさが体験できるのが人気の要因とのことです。バーに限らず、まちや名勝地の「散策」を提供するアクティビティーが全国各地で増えています。
ガイドの力量が鍵 育成スクールも
こうした散策において外国人観光客の満足度に関わるのは「ガイド」の力量。通訳と道案内ができればいいというわけではありません。大抵のことはスマホで知ることができる時代。ガイドに求められるのはエンターテインメントです。ガイドが案内先の店の人と親しかったおかげで、通常では見られないバックヤードに案内してもらえたとか、サプライズで道中景色が良い所で野だてをしてお茶を楽しめた、というようなこと。ただ、サプライズ感を得ていただけるポイントが日本人とは随分違います。
例えば、デパートの開店でスタッフが一斉にお辞儀する光景を見る機会をつくっただけで、相当なサプライズ提供だったりします。日本では当たり前のことが大いなるおもてなしとなることも理解してガイドする技量を備えておく必要があります。こうした技量を育成する専門スクールが増えています。
訪日外国人旅行者の増加は当面続き、アクティビティーの需要も拡大することが見込まれています。周辺で生まれるビジネスチャンスを考えてみてはいかがでしょうか?
(立教大学大学院非常勤講師・高城幸司)