経済産業省は7月29日、第34回産業構造審議会業総会を開催し、2026年度経済産業政策の重点(案)などについて議論した。
会合に出席した日本商工会議所の小林健会頭は、中小企業が「稼ぐ力」を強化し、地域経済の好循環を生み出す原動力となれるよう、生産性向上やイノベーション創出への支援をはじめ、付加価値の創出・拡大に向けた取り組みを強力に後押しする予算の拡充を求めた。
小林会頭は、地域の中小企業の多くが、構造的な人手不足に加え、賃上げに伴う労務費の増加、金利上昇、消費低迷などさまざまな課題に直面し、業況の二極化が顕在化している現状を指摘。「持続的な賃上げや投資の原資確保に向け、取引適正化に向けたビジネス環境の整備を強力に推進するとともに、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を商習慣として定着させることが重要」と述べた。
また、小規模事業者については、「地域の生活や商業インフラを支えるだけでなく、地方創生に不可欠な存在」との認識を強調するとともに、地域に価値ある事業の継続・発展に資する地方交付税措置などを求めた。米国の関税措置への対応については、輸出企業だけでなく、サプライチェーンを構成する中小企業・小規模事業者への必要な支援を迅速に講じる必要性を指摘するとともに、受注先の中小企業にコスト負担防止を呼び掛けるなど、「地域の産業や雇用を守るための万全の対策が不可欠」と主張した。
地域経済の再活性化・地方創生に向けては、「若者や女性などを地域に引き付ける魅力的な産業や事業の創出が必要」との認識の下、地域経済をけん引する中堅・中小企業の事業拡大を後押しするため、企業立地に不可欠なインフラ整備を要望した。