現在、幅広い業種で人手不足が深刻になっています。人手不足がもたらすさまざまな問題の中に、従業員のメンタル面の不調もあることをご存じですか。
人手が足りないと、従業員の業務負担や責任の増大、残業時間の増加などを招きます。その状態が続くとストレスがたまって意欲も低下し、やがてメンタルの不調につながる可能性があります。こうした状況を防ぎたいとき、メンタルヘルスリテラシーを持っているかどうかは、大きな違いとなって現れます。
メンタルヘルスリテラシーに含まれる要素として、メンタル疾患や不調に対して正しく理解していること、その予防や早期発見に役立つ知識を持っていること、適切な支援や対処法を理解していること、困った時の支援先を把握していること、メンタル不調に対して偏見を持たないことなどが挙げられます。これらを踏まえた上で、従業員のメンタル面を支える対策を検討したり、社内のサポート体制や支援先を整備したりすると、いざというときに役立ちます。
具体的な取り組みとして、まずは過重労働になっていないか、働き方を見直しましょう。メンタルヘルスでは、本人が自分の状態を把握することが重要なので、定期的にストレスチェックやストレスマネジメント研修を行うなどして、従業員自身がストレスを適切に管理、対処する方法を学ぶ機会を設けます。また、メンタル不調は、早期に発見して適切に対処すれば、深刻化を防げるケースが少なくありません。そこで、職場内に相談窓口を設けることも大切です。
もし、メンタル面の不調者が出た場合、外部の専門機関を活用するのも方法です。例えば、産業保健総合支援センターや地域産業保健センターでは、メンタルヘルス対策に関するサービスを無料で提供しています。また、専門家によるカウンセリングやサポートを提供する民間のEAP(従業員支援プログラム)を導入するのもよいでしょう。
会社全体でメンタルヘルスリテラシーを高めると、従業員の幸福度が上がります。それが仕事の意欲や生産性の向上にもつながり、好循環を生み出すことができるはずです。

