政府は12日、「第15回未来投資会議」を首相官邸で開催し、ソサエティー5・0の地域における社会実装などについて議論した。会合では石井啓一国土交通大臣が、低コストの水位計の実用化やドローンによる現地確認などを例に、ITやIoTを活用した「革新的河川技術プロジェクト」について説明。会議に出席した三村明夫会頭は、「画期的な先進事例」と評価。引き続き、新技術を活用した高度なインフラ管理を行うよう求めた。
三村会頭は、「インフラの老朽化、自治体などの技術職員の不足や、建設産業での深刻な人手不足は大きな課題」と指摘。「国民の生活に必要なインフラを適切に管理して、良好な資産として次世代に引き継ぐことは絶対に必要。そのためには、新技術を活用した高度なインフラ管理が必要不可欠」と強調した。
また、「新技術の現場実装を行うことにより課題が明確になり、技術はさらに磨かれる。現場実装を加速するためには、この革新的河川技術プロジェクトのように、国が『こういうものを導入したい』というスペックを明確に提示し、かつ、インフラが新たなビジネスチャンスを生み出すことを示して、民間の技術開発力を存分に引き出すことが必要」と指摘。「開発された新技術が実際にインフラ管理の現場で使えるように官側のマニュアルや技術基準類をしっかりと整備するということにより、イノベーションが生まれ、横展開が実現する」と述べた。
新技術の導入に当たっては、「技術が完璧に出来上がってから初めて実装するのではなく、部分的にでも可能なところがあれば、段階的に実装しながら完成度を高めていくという柔軟な手法で、規制のサンドボックス制度なども活用し、さまざまな分野で社会実装に向けた工程とKPIを策定して、インフラ管理の高度化を進めてもらいたい」とコメントした。
安倍晋三首相は、「河川の維持管理におけるオープンイノベーションの取り組みは、時代の要請に応えるもの」と強調。関係大臣に対し、インフラの老朽化が大きな課題となる中で、この成功事例を道路、空港、港湾、上下水道など全てのインフラ分野に横展開し、今後その実践に向けた工程表とKPIを策定し見える化を進めることで、新しいイノベーションの現場実装をさらに加速させるよう指示した。
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