日本商工会議所は9日、長期的な国土づくりの指針となる新たな「国土形成計画(全国計画)(原案)」のパブリックコメントに対して意見書を提出した。国土形成計画は、概ね10年ごとに改定されているが、急激な人口減少、少子・高齢化、都市間競争の激化など、経済社会の変化が激しいことから、現在の計画期間(平成20年から概ね10年間)の満了を待たずに改定されることになった。
意見書では、計画の目標達成に重要な要素となる道路、港湾などの政府固定資本の投資規模が明記されていないことから、計画に実効性を持たせるため、計画期間のうち、37年までの10年間の投資規模の概算を示すことを提案。優先順位を付けて、必要な財源を確保し、着実に国土形成を進めていくことを求めている。
また、コンパクトシティーの形成を推進し、各地域の交通・通信などのネットワークでつなげ、圏域人口を確保する「コンパクト+ネットワーク」の考え方を評価。今後10年程度がコンパクトシティー形成の最後のチャンスと捉えて、官民協働によるまちづくりへの仕組みの転換に関する必要性を強調すべきとしている。
さらに、巨大災害に対する経済・社会システムの脆弱(ぜいじゃく)性を克服するために、ミッシングリンクの解消に資する道路や、防災・医療など地域の安全・安心の実現を担う道路などのライフラインは、着実に整備すべきであるとしている。
政府は今夏中に計画の閣議決定を予定。その後、地域ごとにブロック計画(広域地方整備計画)の策定が進められる。
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