政府は10月24日、「働き方改革実現会議」の第2回会合を首相官邸で開催した。会合では、テレワークや副業などの柔軟な働き方の在り方、多様な選考・採用機会の提供などについて議論。日本商工会議所の三村明夫会頭は副業について、「導入促進のためには、トータルの労働時間をどう管理するのか、社会保険料負担や労災はどちらの会社が負担するのかなど整理すべきことが多々ある」と指摘。「まずはこうした課題をクリアしつつ、好事例の共有化を図り、中小企業の人手不足解消につながる形で推進することが必要」と述べた。
三村会頭は、柔軟な働き方を推進するためには、時間ではなく成果で評価する労働時間法制の改革はセットで進めるべきとの認識を表明。労働基準法改正案の早期成立を訴えた。
採用については、日商の調査によると新卒を採用した中小企業の多くが十分な数を確保できていないことから、インターンシップで得た学生の情報を採用活動に活用できるようにすることを要望。一方で、中小企業では即戦力となるミドル人材に対するニーズが高いことから、ハローワークをはじめとした公的機関におけるミドル人材の採用支援の強化を求めた。
女性の活躍については、「女性の労働参加が進むと新たな待機児童が発生し、新たに小学生の放課後の預け先が不足するという課題が続く」と対応の難しさを指摘。子供を持つ女性が安心して働けるよう、保育所の定員数拡大とともに、小学生になる子供たちのための放課後児童クラブの増設、病児保育の充実、保育所の時間延長など、親の働き方に併せた柔軟な仕組みを求めた。
安倍晋三首相は、テレワークについて、「子育て・介護と仕事の両立の手段、そして副業・兼業はオープンイノベーションや起業の手段としても有効」と強調。テレワークの普及を図っていく考えを示した。一方で、「これらが長時間労働を招いては、本末転倒。労働時間管理をどうしていくのかも整理する必要がある」と述べ、柔軟な働き方の推進に向けて、ガイドラインの制定も含め、多様な政策手段を検討していく方針を表明した。
また、採用については、「年齢がネックにならないように、中途採用など新卒以外の多様な採用機会の拡大も課題」と指摘。「学び直しから、職探し、就職に至るまで、官民一体となって、中途採用機会の門戸を広げる方策を検討したい」と述べた。
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