政府は5月19日、「第27回産業競争力会議」を首相官邸で開催し、新たな成長戦略「日本再興戦略2016」の案を取りまとめた。名目GDP600兆円の達成に向け、IoT、ビッグデータ、AI、ロボットなどを活用する第4次産業革命の実現を目指す。会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、「潜在成長率を引き上げるため、供給制約を乗り越えるのに必要なサプライサイドの政策が網羅されており、また、中小企業に対しても十分配慮している」と評価した。
同戦略では、第4次産業革命の実現をはじめ重点10分野を提示。第4次産業革命については、取り組みを推進させる政府全体の司令塔として、官民会議を設置するとしている。その他の分野としては、「サービス産業の生産性向上」「中堅・中小企業・小規模事業者の革新」「攻めの農林水産業の展開と輸出促進」「観光立国の実現」などが盛り込まれている。
三村会頭は、「あとは実行あるのみ。PDCAサイクルにより、早期に実効性を高めることが必要」と述べるとともに、「規制・制度改革は資本蓄積、労働投入、生産性向上の最も有効な手段の一つ」と強調。国内の規制改革・行政手続きの簡素化について、1年以内に重点分野と削減目標を決定し、可能な限り前倒しで実行するよう求めた。
また、戦略全体の「見える化」も併せて要望。さまざまな政府主導の会議が開かれていることから、「政策メニューの全体観を明示し、国民や企業が明確に理解し、投資・消費を実行しやすいようにすることも必要」と訴えた。
安倍晋三首相は、「第4次産業革命を新たな成長のエンジンとして、GDP600兆円を実現するために、さらに全力を尽くす」と意気込みを示した。
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