政府はこのほど、固定価格買取制度(FIT)の見直しなどを柱とする「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法)等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。今通常国会に提出し、平成29年4月1日の施行を目指す。改正案では、再生可能エネルギーの最大限導入と国民負担の抑制の両立に向け、多くの問題を抱えるFITの抜本改革に着手することが明記されている。
平成24年7月、「再エネ特措法」に基づいてFITが開始されて以降、制度の対象となる再生可能エネルギーの導入量が倍増する一方で、国民負担の増加など多くの課題が指摘されていた。買取費用は1・8兆円に達し、FIT認定量の約9割を事業用太陽光が占めるなど電源間でのアンバランス問題に加え、見通しの甘い事業者などによる未稼働問題なども生じている。
改正案では、再生可能エネルギー発電事業者の事業計画について、その実施可能性や内容などを確認し、適切な事業実施が見込まれる場合に認定を行う制度を創設。違反時の改善命令や認定取り消しのほか、景観や安全上のトラブルが発生していることから、事業者の認定情報を公表する仕組みも設ける。
買取価格の決定方法も見直す。電気の使用者の負担を軽減するために有効である場合には、入札を実施して買取価格を決定することができる仕組みを導入。地熱や風力など開発期間に長期を要する電源については、あらかじめ複数年にわたる調達価格を定めることを可能とする。
また、買取義務者を小売電気事業者から一般送配電事業者に変更。賦課金減免制度も見直し、制度の対象となる事業者の省エネルギーに向けた取り組み状況などに応じた減免率の設定も行う。
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