IAEA(国際原子力機関)はこのほど、東京電力・福島第一原発事故に関する「事故の経緯」「安全対策の評価」「緊急時の対応」「放射線被害」「事故後の復興」についてまとめた最終報告書を公表した。報告書では「原発が安全だとの思い込みがあった」などの問題点を指摘。緊急対応時の国家間の情報共有の必要性などを教訓に挙げた。
食品など公共消費財への放射性物質の影響評価については、長期の制限とそれに伴う問題が生じているとの見方を示し、IAEAやWHOの国際基準と一貫させることを提案。放射線被ばくについては、「線量は低く、典型的な世界の平均バックグラウンド線量と同程度」であることから、「いかなる健康影響の事象の増加も放射線被ばくに起因するとはいえないことを明確にすべき」と警鐘を鳴らす。また、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の増加などの影響を緩和する風評被害対策の必要性を強調している。
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