「容器包装リサイクル法(正式名称=容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律 以下、容リ法)」は、日常的に家庭から出されるごみの中でもガラスびんやPETボトル、使用済みのプラスチックや紙製の容器包装などを対象としたリサイクルを円滑に行うための法律です。ごみの分別など私たちの生活にも密接に関わっている法律ですが、その内容については、あまり知られていません。そこで本稿では、容リ法について、公益財団法人日本容器包装リサイクル協会企画広報部の高橋佳乃子さんから解説します。(全3回予定)
日本で最初の個別リサイクル法
容リ法は平成7年に制定、9年本格施行、12年に完全施行された。その当時、日本は高度経済成長期であり、大量生産、大量消費、大量廃棄の時代であった。
そのため、家庭ごみは増加の一途をたどっており、平成7年当時、一般廃棄物最終処分場の残余年数は7~9年であった。また、国内において、家庭から排出される容器包装ごみは一般廃棄物の約60%(容積比)を占めており、これを焼却・埋め立てではなくリサイクルすることにより最終処分場の残余年数を延命化することが急務であった。
こうした背景を受けて制定された容リ法は、日本で最初にできた個別リサイクル法であり、かつ、初めて拡大生産者責任(注)の考え方が導入された法律である。その後、この容リ法を皮切りに、家電、食品、建設、自動車、小型家電の個別リサイクル法が制定された。
容リ法の最大の特徴は、「役割分担」を設けたことにある。その役割分担とは、市町村ごとに決められた分別ルールに従って分別排出する「消費者」、分別排出されたものを分別収集する「市町村」、そして再商品化(リサイクル)する「事業者」である。
廃棄物処理法では、市町村に一般廃棄物の処理責任が規定されている。しかし、容リ法の制度で定められている容器包装廃棄物については、事業者が再商品化義務を負うことが規定されているわけである。そして、再商品化が円滑に実施されるように、各主体のコーディネーターの役割を果たしているのが公益財団法人日本容器包装リサイクル協会である。
最終処分場が大幅に延命
この容リ法が平成12年に完全施行されてから今年で16年たち、これまでにさまざまな成果が出ている。その一つが、一般廃棄物最終処分場の延命化である。7年度は8・5年であった残余年数が、26年度で20・1年となっている。また、1人1日当たりの一般廃棄物の排出量も14年度は1166グラムであったのに対し、26年度は963グラムまで減少している。
これらの要因として、事業者による容器包装の薄肉化・軽量化などといった環境配慮設計への取り組みや、消費者の3R(リデュース、リユース、リサイクル)に対する意識が高まり、レジ袋辞退率の向上につながったことなどが大きく影響しているといえる。 拡大生産者責任の考え方は、単に事業者に金銭的負担を拡大するのではなく、事業者による環境配慮設計を促すことを目的とした環境政策の手法の一つである。16年間の成果からも分かるように、この拡大生産者責任の考えがうまく機能していることが分かる。
次回は、この容リ法において役割分担の一端を担っている、「消費者」「市町村」「事業者」の役割について詳しく説明していく。
(注)拡大生産者責任=OECD(経済開発協力機構)が定義した用語。容器包装を含む製品の設計・製造に最も影響を与える生産者に対し、物理的・金銭的責任を当該製品の廃棄後まで全面的もしくは部分的に拡大する環境政策の手法。
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