今回は、「消費者」「市町村」「事業者」が容器包装リサイクル法(以下、容リ法)において具体的にどのような役割を担っているのかについて説明する。
容器包装リサイクル制度における消費者の役割は、容器包装の分別排出である。リサイクル製品の品質は排出される時点で決まるといっても過言ではない。消費者は市町村ごとに設けられた排出ルールに従って出すのはもちろんのこと、マイバッグ持参や簡易包装の選択、積極的に牛乳びんやビールびんに代表されるリターナブル容器を購入するなど、リデュース・リユースを意識した行動も求められる。
市町村の役割は、家庭から排出される容器包装ごみの分別収集、そして、それを「分別基準適合物」にし、保管することである。この分別基準適合物とは、家庭ごみの中からリサイクルに適していない異物を取り除き、リサイクル工場へ引き渡すことのできる状態にされたもののことを指している。
分別基準には素材ごとにガイドラインが設けられており、市町村は、その分別基準を満たしたものを日本容器包装リサイクル協会(以下、容リ協)に引き渡している。そのため、市町村はパンフレットやホームページを利用し、市民に対して分別排出のポイントや、排出時の注意点についての啓発を行なうことで、品質向上やごみの減量化に取り組んでいる。
特定事業者に再商品化義務
最後に特定事業者である。分別収集の対象となる八素材の容器包装のうち、容リ法で規定されている四素材(ガラスびん、PETボトル、紙製容器包装、プラスチック製容器包装)において、①「容器」「包装」を利用して中身を販売する、②「容器」を製造する、③「包装」を利用する事業者を、「特定事業者」と定義し再商品化義務を負うことを定めている。ただし、小規模事業者(注)は再商品化義務の適用が除外されている。
なお、他の四素材(スチール缶、アルミ缶、飲料用紙パック、段ボール)についても、容リ法制定当時、収集物が有価で売却されるリサイクルシステムが既にできていたため、再商品化義務の対象外とされている。
この再商品化義務を負う方法としては、三つの方法がある。一つ目は容リ協に再商品化の義務履行の代行を委託し、委託料を支払う「指定法人ルート」。二つ目は牛乳びんやビールびん・清酒びんなどのリターナブルびんのように、事業者が自ら回収する「自主回収ルート」。三つ目は市町村が収集した容器包装ごみを引き受け、事業者自ら再商品化事業者へと引き渡す「独自ルート」である。
不履行の場合は社名公表も
事業者のほとんどは「指定法人ルート」により、委託料を毎年容リ協へ支払うことで再商品化義務を履行している。この再商品化義務を果たさない場合は、国による「指導、助言」「勧告」「公表」「命令」「罰金」の段階を踏んで罰則が適用されることになる。
現在までに「罰金」までに至った例はないが、社名公表は会社にとって致命傷になりかねない。また、この法律には時効制度がないため、容リ法施行以降義務を履行していないことが確認された場合、過去にさかのぼって義務履行を求められる点も注意いただきたい。
次回は、事業者によって支払われる委託料の使途と、容リ協の事業内容について説明する。
(注)小規模事業者=製造業などにおいて売上高が2億4000万円以下、かつ従業員が5人以下。商業、サービス業において売上高が7000万円以下、かつ従業員が5人以下の事業者。
(公益財団法人日本容器包装リサイクル協会企画広報部・高橋佳乃子)
最新号を紙面で読める!