日本商工会議所は11月30日、11月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は11月15~21日。全国423商工会議所が2982企業にヒアリングした。
11月の全産業合計の業況DIは、マイナス22・9と、前月からプラス2・6ポイントの改善。ただし、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。住宅など民間工事、公共工事の持ち直しが続いた建設業や、コスト上昇分の価格転嫁が進んだ卸売業の業況が改善した。また、電子部品や自動車関連の製造業で引き続き堅調な動きを指摘する声があった。他方、日商では、「個人消費の低迷が長引く中、慢性的な人手不足による受注機会の損失や人件費の上昇、農水産物の価格高騰が依然として中小企業の足かせとなっており、業況改善に向けた動きは力強さを欠いている」と見ている。
ヒアリングした企業からは、「公共工事や民間工事を問わず案件は多く、業況は良い。だが、残業時間の短縮を進めていることもあり、人手不足で受注できない案件が多い」(管工事)、「年末商戦関連の貨物が増えており、前年より受注量は増加した。だが、ドライバー不足で断らざるを得ない案件もある」(運送)など、好調な半面、人手不足を指摘する声が聞かれた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス20・8(11月比プラス2・1ポイント)と改善を見込むものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。年末年始の消費拡大、設備投資や公共工事の増加、米国大統領選後の円安株高の進展に期待する声が聞かれる。他方、日商では、「消費低迷の長期化や人手不足の影響拡大、米国の次期大統領の政策の影響など、景気の不透明感を懸念する声は多く、中小企業においては先行き慎重な見方が続く」と見ている。
最新号を紙面で読める!