日本商工会議所は3月29日、「女性の活躍推進に向けた意見~女性のさらなる労働参画と活躍推進に向けた環境整備について~」を取りまとめ、政府など関係各方面へ提出した。4月4日には、日商の前田新造特別顧問(東京・副会頭)が野田聖子女性活躍担当大臣に意見書を手交した。同意見書では、「日本は現在、人口減少による人手不足問題はかつてないほどの危機に直面し、今後さらに深刻さが増していくことが予想されていることから、女性をはじめとした多様な人材の活躍が期待されている」と指摘。女性の活躍推進に向け、喫緊の課題である待機児童解消に向けた取り組みなどを政府に求めている。
25~44歳の女性の就業率は、1987年から2017年までの30年間に57・8%から74・4%と16・6ポイント上昇し、とりわけ近年の上昇率は顕著となっている。これに伴い、М字カーブの底は大幅に上昇し窪みが浅くなるとともに、全体的に上方へ大きくシフトしている。このように女性の労働参画は着実に進みつつあるが、女性の非労働力人口2803万人(17年)のうち就業希望者(在学中を除く)は231万人いることから、さらなる労働参画が期待されている。
一方、仕事と育児との両立の難しさなどから、妊娠・出産を機に退職する女性は少なくないのが現状だ。政府は女性活躍推進法を16年4月に全面施行し、大企業などに一般事業主行動計画の策定・届け出・周知・公表および女性の活躍に関する情報公表を義務付けたが、日商が実施した調査では8割の企業が女性の活躍を推進している一方で、そのうち6割の企業がさまざまな課題を抱えている。
特に、保育の受け皿整備について、政府は17年6月に「子育て安心プラン」を公表したが、女性の就業率と保育利用率は年々上昇し想定を上回る保育ニーズが顕在化したことで、保育の受け皿量が拡大しているにもかかわらず待機児童数は増加傾向にある。このため、同意見書では、女性の活躍推進に向け、「待機児童対策は喫緊の課題」と強調。「子育て安心プラン」に基づく施策により待機児童を早期に解消するとともに、女性就業率80%に対応できる32万人分の受け皿を、政府の目標とする2020年度までに着実に整備すべきとしている。
その他にも、放課後児童クラブの拡充、女性活躍推進法の周知やインセンティブの付与などを求めている。
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