一般財団法人日本ファッション協会は、ファッションが多くの人々の共感をもって受け入れられ、生活文化へと発展する源であるとの認識に基づき、衣食住の枠を超えた生活文化の向上発展に寄与することを目的に、1990(平成2)年4月に設立された。その目的を達成するため、新たな生活文化の創造に貢献する活動に対する顕彰、心の豊かさを育む地域創生プロジェクトの推進、アジア地域との相互交流とファッションビジネスの促進支援など、豊かな生活文化の創造を目指した事業を展開している。『日本クリエイション大賞2017』の表彰案件の募集が今月から始まるのに合わせ、特集では同協会の多くの事業のうち、各地商工会議所と関わりのある事業を紹介する。
一般財団法人日本ファッション協会は現在、『日本クリエイション大賞2017』の表彰案件を広く募集している。
同賞は、生活を取り巻く社会や産業、文化、さらには生活文化そのものの質的な高度化が求められている現代において、未来に向けて新たな足跡を残しうる優秀なクリエイションワークを表彰するもので、2004年以来毎年実施している。
募集対象は、製品、技術、芸術・文化活動、地域振興、環境、福祉などジャンルを問わず、クリエイティブな視点で生活文化の向上に貢献し、時代を切り開いた人物や事象。自薦他薦は問わない。
選考基準は、下記の5点いずれかに該当するもの。
①時代性…時代に衝撃を与え、時代を象徴するもの。
②革新性…斬新な発想で社会に新鮮な感動をもたらすもの。
③文化性…人々の心に快適さや豊かさをもたらすもの。
④国際性…国を超えてさらには時間を超えて、広く人々に共感をもたらすもの。
⑤社会性…地域や人々の生活を活性化させ、幸せ感をもたらすもの。
昨年度は、115件の応募の中から、スーパーコンピューターの消費電力性能部門の世界ランキングで1位を獲得したスーパーコンピューター「shoubu(菖蒲)」を開発した、株式会社PEZY Computingの齊藤元章社長が大賞を受賞。現在より1000倍程度高速なAIエンジンと連携させた次世代スーパーコンピューターを使うことにより、人類が抱えるエネルギー、食糧、医療・生命科学、環境破壊といった解決困難とされている問題の解決を目指している点が高く評価された。
大賞のほか技術革新、食文化貢献、地域文化応援の観点からそれぞれ評価された3案件が各賞を受賞した。(表1参照)
選考に当たるのは、東京藝術大学の伊東順二教授、脚本家の内館牧子氏、評論家の大宅映子氏、コーディネーターの加藤タキ氏ら、各界で活躍する10人の選考委員。大賞(1件)には副賞50万円、各賞の3件には副賞25万円が贈られる。締め切りは10月末日。詳細はこちらを参照。
一方、映画を通して人々の心豊かな生活に寄与することを目的に02年に創設された『シネマ夢倶楽部』では、その顕彰事業として映画文化に関わる各賞を選定し表彰している。
具体的には、毎年国内で公開された新作映画(邦画・洋画問わず)の中から、各界で活躍する著名な方々で構成された推薦委員が選定した夢と感動と希望を与えてくれたベストシネマ上位3作品に贈る「ベストシネマ賞」、映画を通して文化や生活、社会の発展などに貢献のあった団体、プロジェクト、企業などに贈る「シネマ夢倶楽部賞」、新しい時代の映画や才能、意欲的な活躍に贈る「推薦委員特別賞」などの各賞を表彰。今年度は15回目となる。(表2参照)
シネマ夢倶楽部上映会実施のご案内
『シネマ夢倶楽部』では前述の顕彰事業のほか、同倶楽部が推薦する良質な最新映画の紹介記事を一般紙や本紙に毎月掲載すると共に、定例試写(上映)会を都内で年間回開催している。
また、各地商工会議所の周年記念事業や会員サービス事業の一助として、当該商工会議所や同会員企業などと共催した上映会も開催している。
同協会には、こうした上映会の運営ノウハウが蓄積されていることから、各地商工会議所が地域の祭事などのイベントの中で上映会実施の意向がある場合には、上映作品の選定やフィルムの貸し出しに係る映画会社との交渉、入場券やチラシの作成、会場の手配など、同協会が責任を持って支援する。さらに上映会開催に伴う費用についても、予算に応じて幅広く対応するとしている。本事業の利用希望者は、同協会の担当者まで相談を。
(一財)日本ファッション協会 シネマ夢倶楽部 いい映画・上質な映画で心豊かな生活を 会社・学校・地域で上映会ご希望の方はご連絡ください
TEL:03-3295-1411
HP:http://www.japanfashion.or.jp/cinema/
交流創造都市を目指して
10月に「八王子地域会議」開催
同協会では、設立当初より地域活性化事業にも取り組んでいる。 93年から10年間にわたって、地域のものづくりとまちづくりを一体的に推進する「ファッションタウン構想」を推進。03年からは、これに〝創造都市〟という欧米で提唱され、ユネスコも推進している国際的な都市再生の理念を組み込んで、「生活文化創造都市推進事業」をスタートさせた。
「地域独自の文化に根差した市民の創造活動」こそが、同協会のミッションでもある「豊かな生活文化を育み、産業の振興にもつながる」の認識の下に、これを推進している。
具体的には、毎年地域に赴き、行政や会議所と協働でまちづくりシンポジウム「地域会議」を開催している。
昨年は、創立110周年を迎えた札幌商工会議所と、「これからの100年のさっぽろのあり方」をテーマに「札幌地域会議」を開催した。(表3参照)
今年は、市制100周年を迎える八王子市(東京都)で、同市、八王子商工会議所、八王子ファッション都市協議会の3者と共催で、10月5日に「八王子地域会議」を開催する。
八王子市では、同所を中心とする「八王子ファッション都市協議会」が、96年に「八王子ファッション都市宣言」を行って以来、ファッションタウン運動を続けてきた。
その中核事業である「花と緑のまちづくりフェア」の実績が認められ、市制100周年記念事業のシンボル事業として「全国都市緑化はちおうじフェア」が開催されることになった。同地域会議はその会期中に開かれ、会議の翌日には、特別見学会が予定されている。
八王子では、次の100年の発展に向けて、行政と同所と協働で新たな産業振興プロジェクトを提唱し、その推進に当たるなど、官民一体となった取り組みが成果を上げている。
同地域会議も行政と同所が強力なタッグを組み、同協会とも密に連絡を取り合って準備を進めている。今後、 「人と文化の十字路、交流創造都市=八王子への新たな挑戦」をテーマとした、本シンポジウムへの参加を広く呼び掛けることにしている。(表4参照)
地域会議は、来年以降も、まちづくりに意欲のある地域で行っていく。昨年、今年と100年、110年をきっかけにした会議が続くが、もちろんそれにこだわらず、開催地域に合ったテーマで開催していく。 同協会と協働でまちづくりシンポジウムの開催を希望する地域は、同協会の担当者まで連絡を。
TEL:03-3295-1311
最新号を紙面で読める!