基本的な考え方
○2003年の知的財産戦略本部の設置以来、知財への関心は高まったが、近年、知財への取り組みは勢いを欠いている。
○国際競争に勝つには、イノベーションを収益力につなげる知財戦略が不可欠。各地域で知財の創造・保護・活用に関する戦略を策定し、リーダーを定めて取り組むことが重要。
○地方創生の実現には、各地域で資源や強みを徹底的に掘り起し、ブランドやコンテンツなどの知財の活用により、国内外の市場を獲得できるよう官民を挙げた取り組みが必要。
○中小企業の知財に対する意識を一段と高められるよう、中小企業の多様な実態を的確に捉え、きめ細かく支援することが効果的。
各項目における主な要望事項
Ⅰ.・知財活用が地方創生実現のカギ
1.都道府県は知財の創造・保護・活用に関する戦略の策定・見直しを
○都道府県は地域経済の担い手と連携し、地域における知財の戦略の策定・見直しを行うこと。また、国はその策定・見直しの促進と積極的な支援を行うこと
2.知財による連携を進め、地域の活性化を
○各地域において産学連携推進の起爆剤とするべく、大学や研究機関が保有する特許を中小企業が事業化評価をする間、中小企業に無償で開放すること
3.地域資源の権利化・ブランド化の促進を
○地域団体商標制度の利用実績と経済効果を調査分析するとともに、その成功事例の横展開を強力に行うこと
○都道府県は、地理的表示保護制度や地域団体商標を活用し、農林水産品・加工品の販売支援(マーケティング、販路開拓など)や模倣品の侵害対策に取り組むこと
4.地域の主体的な知財活用に向けた人材育成支援を
○地域の知財を活用し、国内外において地域産品の価値を高められるよう、総合的な知財マネジメント構築を支援できる人材の育成、能力開発を強化すること
Ⅱ.中小企業による知財活用の最大限の促進を
1.中小企業の知財権の積極的な取得に向けた環境の整備
(1)知財権の取得・維持費用を下げる
○中小企業などが、一律に費用減免措置を受けられるよう、料金減免体系を見直すこと
(2)権利化などの申請手続きを簡素化し、分かりやすく
○知財権の申請書類を簡素化し、手続き負担を軽減すること
2.知財を中小企業の経営戦略に不可欠なものに
(1)知財を戦略的に経営に生かそうとする中小企業への支援
○知財戦略を重視した経営計画を作成し、地域知財戦略本部などに認定された場合、研究開発や設備投資への助成、税制優遇措置、低利融資などの支援制度を創設すること
(2)中小企業の知財活用意識の醸成と支援人材の育成
(3)知財の価値や事業性評価を見える化(数値化)し、知財金融の促進へ
○中国の知財金融を研究するとともに、知財の事業性評価を活用した融資制度の普及を大幅に拡大すること
(4)知財侵害への断固たる措置を
○不当な技術の吸い上げを行う企業に対しては、企業名を公表するなど、独占禁止法(優越的地位の乱用)のガイドラインを拡充し、断固たる措置を講じること
Ⅲ.わが国の産業競争力を強化する知財システムを
1.知財の創造・活用を促進する、納得感の高い紛争処理システムを
○裁判で特許などの有効性が否定されることがないよう特許権の安定性を高める確実な審査を行うこと
○中小企業が知財侵害に対抗して訴訟を起こすのは、自社のビジネスへの影響が看過できない程大きい場合である。中小企業が訴訟提起を容易にできるよう支援策の充実・強化を図ること
2.日本の優れた知財システムを世界へ
3.国際標準・認証による競争力強化
○各国間における規格・基準など規制の統一や調和・相互承認を強力に推進すること
Ⅳ.コンテンツを活用した旺盛な海外需要の取り込みを
1.コンテンツ輸出による日本の魅力の効果的な発信
○コンテンツ輸出を国家プロジェクトと位置付け、明確な目標を設定し取り組むこと
○重点国において、国の主導による日本のコンテンツ専門放送局など情報発信拠点の設置やクールジャパン、ビジットジャパンの連携を推進すること
2.模倣品・海賊版の徹底的な対策を粘り強く
3.良質なコンテンツを創造するための制度整備と人材育成
○著作物の利用円滑化のため、著作権者不明の裁定制度の改善や、権利情報を集約したデータベースなどによるライセンシングの環境整備などに向けて取り組むこと(3月16日)
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