日本商工会議所は3月16日、第125回通常会員総会を都内で開催し、全国413商工会議所から会頭・副会頭ら約1000人が出席した。総会の冒頭にあいさつした日商の三村明夫会頭は、サプライサイド政策実行の主役は民間と強調。「経営者自身がリスクテイクしながら新たな挑戦に取り組むことが必要」と訴えた。また、「商工会議所は、地方創生と中小企業の活力強化を担う中核的な組織として、『成長する経済』の実現に自ら主体的に取り組み、明るい未来を切り開いていかなければならない」と決意を述べた。(関連記事2、3、4、5、6、7面に)
三村会頭は、成長する経済の実現に向け、「地方創生」と「中小企業の活力強化」を軸とした活動に取り組んでいく方針を表明した。地方創生の鍵として、観光振興および商工業との連携による農林水産業の活性化の2点を強調。地域を超えた観光振興の取り組み、地域ブランドの構築、旺盛なインバウンド需要の取り込み、農商工連携促進に向けたマッチングの仕組みなどの必要性を指摘した。
また、中小企業の課題として人手不足への対応を挙げ、労働力減少による経済規模の縮小を防ぐには、多様な人材の活躍推進につなげ、生産性を引き上げる「働き方改革」が重要との認識を示した。また、改革の実現のためには、「現場の実態を踏まえた丁寧な議論と合意形成が不可欠」と述べた。
総会では、安倍晋三首相が来賓としてあいさつし、「雇用の7割を支える中小企業において、大企業との格差が一層縮小するような賃上げができるよう、政府もしっかりと応援する」と強調。「これからもわが国経済の屋台骨である中小企業・小規模事業者のリーダーとして活躍してほしい」とエールを送った。また、松村祥史経済産業副大臣も来賓としてあいさつした。
総会議事では、「現場主義・双方向主義の徹底」「連携・ネットワークによる活動効果の最大化」「政策提言」「商工会議所活動の見える化による組織基盤強化」を活動方針とする「第30期行動計画(案)」と「平成29年度事業計画(案)」「同収支予算(案)」が異議なく承認された。
その後、ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥iPS細胞研究所長・教授による「iPS細胞がひらく新しい医学」と題した記念講演を開催。iPS細胞を活用した病気の原因の解明、新しい薬の開発、再生医療などについて紹介するとともに、さらなる研究に向けた寄付金などの協力を呼び掛けた。
最新号を紙面で読める!