日本商工会議所は5月31日、5月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。調査期間は5月17~23日。全国423商工会議所が2949企業にヒアリングした。
5月の全産業合計の業況DIは、マイナス22・8と、前月からマイナス1・8ポイントの悪化。日商では、「熊本地震の影響が大きく、ゴールデンウィークの観光需要の落ち込みをはじめ、小売業やサービス業、製造業など広く業況の押し下げ要因となった」と分析している。金融市場の不安定な動きに対する懸念は和らぎつつあるものの、受注機会の損失や人件費上昇など人手不足の影響拡大、消費低迷の長期化、新興国経済の減速などから、中小企業のマインドは依然として鈍く、横ばい圏内の動きが続いている。
業種別では、建設業は、人手不足に伴う受注機会の損失や人件費の上昇、公共工事の鈍い動きを指摘。製造業は、熊本地震によるサプライチェーンの混乱や燃費不正による自動車メーカーの操業一部休止などの影響が見られたものの、飲食料品、化粧品、家電製品の堅調な推移や、自動車関連で年初の工場の事故による減産を挽回しようという動きがあった。
卸売業は、飲食料品の堅調な需要や燃料費の下落の恩恵を指摘する声があった。小売業は、熊本地震の影響により西日本を中心に消費マインドが冷え込んだ。
サービス業は、熊本地震の影響によりインバウンドを含め旅行客のキャンセルが相次いだほか、外食などに対する消費者の自粛ムードも見られた。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス23・8(5月比マイナス1・0ポイント)と悪化を見込むものの、「好転」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばい。日商では、「公共工事の早期執行や設備投資の持ち直し、夏の賞与に伴う個人消費の伸びへの期待感が伺える。一方で、熊本地震の影響や円高進行によるインバウンド需要の鈍化など消費の一段の悪化、慢性的な人手不足や価格転嫁の遅れなどへの懸念が企業のマインドを鈍らせており、中小企業においては、先行きへの慎重な姿勢を崩していない」と見ている。
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