日本商工会議所は12月28日、12月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果とともに、「2015年度の所定内賃金の動向」について、全国の中小企業にヒアリグした結果を発表した。
2015年度に「賃金の引き上げを実施した」企業(全産業)は、55・6%と9月調査より4・3ポイント減少。一方、「賃金の引き上げを見送る」企業も、23・6%と9・1ポイント減少した。
「現時点では未定」とする企業は、20・8%と9月調査より13・4ポイントの増加。中小企業の景況感が足踏み状況にある中、小売業を中心に、賃上げを再検討する動きも見られる。
ヒアリングした企業からは、「受注が好調だったため、定昇・ベアともに実施したが、16年度は見通しが不透明であり、賃上げには慎重にならざるを得ない」(電気工事)、「定昇を実施したが、今後も安定して収益を確保できるか分からないため、生産性向上により残業を削減するなど、総人件費を抑制する取り組みを進める」(自動車部品製造)といった賃上げを実施したものの、先行き不安を述べる意見があった。
また、「業績は依然として厳しく、賃上げを行う余裕はそれほどないが、人材確保のためにも何とか対応したい」(陶磁器製造)、「時給を100円以上引き上げたものの、人材確保が進まない。また、人件費上昇分の価格転嫁をしたいが、取引先の理解が得られず、収益圧迫が続いている」(ビルメンテナンス)など、不足する人材の確保のために賃上げを行う意見も見られた。
最新号を紙面で読める!