政府は1月29日、「第4回一億総活躍国民会議」を開催した。会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、「やるべき対応策の項目出しはほぼ完了し、実行する段階に入った」と強調。働き方改革や子育て・介護など、各論について、実行性のある対策を取りまとめることが必要との考えを述べた。安倍晋三首相は、今春取りまとめる「ニッポン総活躍プラン」について、「より構造的な問題を取り上げたい」と述べ、生産性向上のほか、「働き方改革」「子育て・介護の環境整備」「成長と分配の好循環のメカニズムと定量的効果」の3点を骨格にする方針を表明。10年間のロードマップも併せて盛り込むことにしている。
三村会頭は、「対策はすぐに効果が出るものではなく、成果を信じて、粘り強く、継続して実行することが必要であり、実行のためには安定した恒久財源が必須」と強く主張し、将来の〝成長の果実の分配〟のためにも、社会保障費を高齢者対策から少子化対策にシフトすることや、高齢者の所得格差の大きさを踏まえた応能負担の導入といった社会保障制度改革、さらには規制緩和の推進など、一部には痛みを伴う施策についても断行すべきとの認識を表明。「安定政権でなければできない難しい課題であり、政府を中心として力を入れて取り組んでほしい」と要請した。
また、喫緊の課題である中小企業の人手不足にも言及。「直ちに対策を講じなければならない深刻な事態」として、残された時間は少ないという危機感を共有する必要があるとの考えを述べた。
安倍首相は、働き方改革については、同一労働同一賃金の実現など非正規雇用労働者の待遇改善、定年延長企業の奨励などの高齢者雇用促進、総労働時間抑制などの長時間労働是正に取り組む方針を表明。子育て・介護の環境整備については、保育・介護人材の確保のための介護職および保育士の待遇改善を取り上げる意向を示した。
成長と分配の好循環のメカニズムなどについては、経済財政諮問会議と連携しながら検討するとした。そのほかにも、若者・女性・障害や難病のある人の就業促進、格差を固定化させないための子どもの教育問題などもテーマとする予定だ。
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