政府は10月16日、産業界、政府、投資関係者などが参加し、政府の投資環境整備の在り方や民間投資の目指すべき方向性を共有する「未来投資に向けた官民対話」の第1回会議を開催し、投資拡大に向けた課題などについて意見交換を行った。会議に出席した安倍晋三首相は「産業界の投資の取り組みを後押しするため、聖域を設けずに、この場で解決策を決めていく」との決意を表明。日本商工会議所の三村明夫会頭は、会議終了後、記者団に対し、「投資は企業が個別判断ですることであり、投資環境がどういう状況にあるか共通認識を持つことは意味がある」と述べ、今回の対話の意義を強調した。
会議には、安倍首相はじめ、政府から麻生太郎副総理、甘利明経済再生担当大臣、菅義偉内閣官房長官、林幹雄経済産業大臣、加藤勝信一億総活躍担当大臣が出席。産業界からは三村会頭はじめ、榊原定征日本経済団体連合会会長、小林喜光経済同友会代表幹事らが出席した。
三村会頭は、「中小企業の設備投資は点火しつつあるが、あと一歩踏み出すことを躊躇(ちゅうちょ)している」と中小企業の現状を説明。その原因として「収益力の弱さ」「原材料価格などのコスト上昇分の価格転嫁」「電力コストや税・社会保険料などの企業負担」の3点を挙げた。
政府に対しては、取引価格の適正化に向けた、普及啓発や監視の徹底、再生可能エネルギー固定価格買取制度の早期抜本的見直しや安全が確認された原発の再稼働による安価で安定的なエネルギー供給の実現を要望。税・社会保険料についても、国際的なイコールフッティングや中小企業を活性化する観点を重視した改善を強く求めた。
安倍首相は、「戦後最大の経済、GDP600兆円を実現するため、生産性を抜本的に高め、供給制約を克服していく」と述べるとともに、「企業収益は過去最高となったが、投資の伸びは十分ではない。今こそ企業が、設備、技術、人材に対し、積極果敢に投資をしていくべきとき」と産業界に対して積極的な設備投資を要請。「投資を拡大する上で克服すべき課題については、しっかり果敢に取り組んでいきたい」と述べ、政府として投資環境の整備を進める考えを示した。
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