日本商工会議所は10月30日、10月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表。10月の全産業合計の業況DIは、マイナス17・5と、前月からマイナス0・2ポイントのほぼ横ばい。調査期間は10月15~21日。全国422商工会議所が2984企業にヒアリングした。 日商では、「秋の行楽シーズンと中国の大型連休に伴い好調だった観光関連や住宅投資の持ち直しなどが下支えしたほか、一部では、ガソリンや原材料などの価格下落の恩恵を指摘する声も伺える」と分析。他方、人手不足や人件費の上昇、価格転嫁の遅れなどが足かせとなり、業績改善のテンポがばらつく中、中国経済の減速や消費者のマインドの鈍さを受けて、中小企業の景況感は足踏み状況にあるとしている。
業種別に見ると、建設業からは「工場など投資関連の引き合いが出始めている」(一般工事)といった声が寄せられた一方、「人件費の負担増が続く。受注の見通しも分からない」(土木工事)などの懸念も聞かれた。製造業からは、「行楽シーズンを迎え、生産水準を引き上げ」(食料品製造・販売)、「取引先が海外から国内での調達にシフト。受注が伸びている」(陶磁器製造)などの声が聞かれた。
卸売業からは、「青果物の仕入価格が高止まりし、採算は厳しい」(農産物卸売)、小売業からは、「インバウンドの好調が続いている」(百貨店)といった声が寄せられた。サービス業からは、「晴天が続き、観光客が増加。県発行の旅行券の効果もあり、年明け以降も売上増に期待」(旅館)などの声が聞かれた一方、「整備士が不足しているため、受注を抑制」(自動車整備)といった人材不足を指摘する声もあった。
先行きについては、先行き見通しDIがマイナス16・0(今月比プラス1・5ポイント)と改善するものの、「悪化」から「不変」への変化が主因であり、実体はほぼ横ばいの見込み。観光需要や住宅投資の拡大のほか、設備投資、公共工事の持ち直し、冬の賞与増などへの期待感はあるものの、中国経済減速の影響や消費低迷の長期化を懸念する声も聞かれる。日商では、「先行きの不透明感が増す中、人手不足や人件費の上昇、価格転嫁の遅れなどの課題を抱える中小企業では、景気回復や自社の業績改善への確信が持てず、慎重な見方が続く」と分析している。
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