前回は、「情報セキュリティ対策の種類とその選択」について説明いたしました。今回からは、さまざまな情報セキュリティ対策について、より詳しく説明してまいります。最初は、意図的な脅威であるサイバー攻撃対策のあり方についてです。
サイバー攻撃などの意図的な脅威の対策にあたっては、まず「敵」を知ることが大事です。攻撃してくる者たちは、どのような目的でどのような手段を使ってくるか、それを知ることです。これらを知らなければ、どのように自分の会社が攻撃される可能性があるのか想定することができません。想定できないということは、その準備ができないことになります。準備ができないということは、適切かつ十分な対策ができなくなるということです。「敵」を知ることで、その目的を達成させず、手段を封じる対策を検討することが可能になります。
では、攻撃者の目的は、いったい何なのでしょうか。主な目的は、3つです。最も多いものが「金銭」です。つまり、攻撃をすることで、お金をもうけようとしているのです。攻撃により、企業の重要情報を盗み取り、それをお金に換えるなどで利益を得ています。次に、攻撃相手の企業や、そこに所属する人に対する不満や恨みです。企業側からすると、心当たりのないことや逆恨みなどで攻撃されることもあります。そして、3つ目は諜報(ちょうほう)活動、いわゆるスパイ活動です。昨年6月以降に発覚している標的型メール攻撃のほとんどは、諜報活動目的だと考えられています。いたずらなど興味本位によるものはごくわずかです。攻撃者は、これらの目的を達成するために、不正アクセスやウイルスなどによる攻撃をしてきます。つまり、これらは手段であり、目的ではないのです。そして、目的を達成するために、相手に見つからないように執拗(しつよう)に攻撃を続けてきます。新聞やテレビなどで、被害を受けた企業が「攻撃があったことに、(自分では)気が付かなかった」という報道があるのはそのためです。
また、サイバー攻撃を受けるのは、政府機関や公共機関、大企業だけではありません。その取引先である中小企業も大企業などに関する情報を業務で扱っているため、大企業と同様、もしくは攻撃者からセキュリティ対策レベルが低いと考えられていることから、それ以上に狙われる傾向にあります。
では、どうやって攻撃に気付くことができるのでしょうか。そして、攻撃されたことが分かったら、どうしたらよいのでしょうか。 次回は、攻撃に気付くための対策や、その際の対応について解説いたします。
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