日本を取り戻す。私はその一点を国民の皆さまに訴えて、1年半前に政権を獲得いたしました。それ以来、一貫して経済再生最優先で取り組んでおります。
三本の矢によって、日本を覆っていた暗く重い空気は一変しました。有効求人倍率は、バブル崩壊以来22年ぶりの高い水準となっています。これは決して都会だけの現象ではありません。35の都道府県で、求人数が求職者数を上回る水準になっています。
また、今年の春、賃金の伸び率は、過去15年間で最高となりました。中小企業においても、65%が賃上げを行っていただきました。
政権復帰した当初、私の経済政策はかなり異端視されていました。しかし、この道しかないと確信しております。
アベノミクスは、いよいよ第2章に入ります。確かに、景気回復の実感が全国津々浦々にまで届いているとは言えません。地方では燃料費の高騰など、まだまだ厳しい現実があります。ですから、引き続き、経済最優先。景気回復の波を、必ずや全国隅々にまで届けていかなければなりません。地方は、人口急減・超高齢化という深刻な課題に直面しています。各々の地域で、若者が将来に夢や希望を持って元気に働き、子供を育て、次世代へと豊かな暮らしをつないでいく。そんな魅力ある地方を創らなければなりません。
内閣改造の際に、豊かで明るく元気な地方の創生を目指し、私が司令塔となり、全閣僚が参加する「まち・ひと・しごと創生本部」を立ち上げました。
「まち・ひと・しごと創生本部」では、現場に積極的に出向いていき、地方の主役である皆さまと積極的に対話し、地域の魅力やニーズ・意欲あふれる取り組みを把握する方針を徹底しています。その上で、従来とは異次元の大胆な政策をまとめていく考えであります。地域の個性を重視し、全国各地を同じ枠にはめるような今までのありがちな手法は、私たちは決して取ることはありません。
地域社会に根差した商工会議所の皆さまには、三村会頭の力強いリーダーシップの下、特色ある地方の取り組みを先導し、その声をわれわれにぶつけていただきたいと思います。 地方にとっては何でもないものが、ちょっとした工夫で全国区の特産品に化ける可能性を秘めています。そんなふるさと名物を、日本中の人に知ってもらいたいと思います。地方の取り組みを積極的に応援する法律を用意しようと思っています。
一度失敗すると全てを失う。個人保証の慣習が、再チャレンジを阻んできました。個人保証の慣習を断ち切ることが、元気な地方を創ることにつながると考えています。そのため、今年2月、個人と会社の資産を区分して、しっかり管理していれば、個人保証が無くても融資が受けられるよう、新たなガイドラインを作りました。既に政策金融公庫と商工中金だけでも、この半年間で約2万件の融資を実行しています。
このように、特に地方においてはそうでありますが、この個人保証という壁を取り払っていくことによって、一度ちょっとしたことで失敗した方も、その経験を生かしてもう一度挑戦して、そして、大きな成果を上げていくことに、私はつながっていくと思います。それは新たな雇用を生み、新たなビジネスチャンスを生み、地域を成長に導いていくのだろうと思います。1回失敗しても、もう一度チャレンジする重要性は、私が最も知っている一人ではないかと、このように思っているわけであります。
そして、地方のベンチャー企業にとって最大の悩みの種は、販路の獲得であります。創業10年以内の中小ベンチャー企業の商品・サービスについては、競争入札ではなく、随意契約による優先調達を活用し、優先的に政府が調達する仕組みを作り上げます。
本日会場に集まられた皆さまが、これから、更に未来に希望を持って、自信を持って前進していくことで、日本は、そして日本の地域は、間違いなく輝きを取り戻していくことになります。日本商工会議所並びに全国の各商工会議所の更なるご発展と、本日お集まりの皆さまのご健闘を祈念して、私のごあいさつとさせていただきたいと思います。皆さま一緒に頑張りましょう。
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